八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

社員研修@鹿児島

社員研修旅行で鹿児島に行きました。研修+懇親・慰安の旅行です。

鹿児島県の名所を巡りました。人気の施設、見に行きたかった建築を見てきました。

霧島市城山公園

市民のための公園といったところで、小さな観覧車やミニゴーカートなどの遊具がありしたが平日のため、ほぼ休止です。以前は何もない公園だったようです。

なにもなくても、ここからの錦江湾桜島の風景は幸せ感いっぱいです。

霧島神宮

国宝です。斜面に立地しているので平屋作りですが、3階建てのように見えて立派な建ち姿です。霧島の人たちの誇りとなっているようです。

霧島温泉の宿

古い温泉旅館を今どきのSNSウケするように上手に改装していました。

EVホール大きな嵌め殺しの窓と古家具でシンプルで和モダンな印象です。

客室は古いコゲ茶の隠す明るい木目の木が張られ、今人気のナチュラルなインテリアに見せています。建築のプロでないと気が付かないようなコストを工夫です。

ほかにも野趣あふれる(池みないな)貸し切り露天風呂や宿周辺の山の中を散策路の整備といろいろな魅力づけをしつらえていました。

日本最古の木造駅舎

大正13年に建設。肥薩線嘉例川駅。木造にかかわっているので皆興味深々。建て方技術としては、それほどのことはないようです。

鹿児島のお墓

桜島の灰が落ちるので、屋根がついているのが普通らしいです。屋根のサイズが特殊になるので、建築的には興味深い造形です。

知覧武家屋敷

武家屋敷並ぶ綺麗に整えられた景観とそれぞれの屋敷庭が有名で、ぜひ見てみたかった場所です。

石垣と生垣の通り。生垣は上は周辺の山並みにつながって、建物は見えない。防御のため通りが屈折していることも、自然のみで作られる景観に仕立ている要因。

通りから屋敷には、屈折した経路になるよう門の内側にカギ状の塀がある。

屋敷側から見る庭園も通り側生垣が背後の山の緑につながり、通りの存在が気にならない独立した空間となっています(左の刈込の裏は通りです)。

知覧平和記念館

戦時中特攻隊の訓練場だった知覧飛行場のあとに作られた施設。

特攻隊の寄宿舎。敵に見つからないように林の中に低く建てられた。

指宿・砂蒸し風呂

みんなで体験。砂浜の直下に熱い湯が沸いています。付近の浜を手で掘っても熱さが分かります。

指宿の宿

人気あるオーシャンビューの温泉旅館。

岩崎美術館

1978年竣工。槙文彦さんの代表作。学生の頃のあこがれの建物。外部のコンクリートは塗装されていて、当初の魅力は薄れていますが内部のコンクリートはとてもきれいに打設されていて、質感あるインテリアはすごく良いです。施工者的な見方でも勉強になる建物です(内部は撮影禁止)。

長崎鼻

薩摩半島の最南端。美しい岬と海。海に浮かぶ開門岳の景観も絶景です。

唐船狭流しそうめん

清水でいただく流しそうめんが有名です。狭い渓谷の谷底に作った大きな木造屋根。中に清流が流れていて涼しい。

テーブル流しそうめん器。細いノズルが水槽の底に付いていて、清水を常に供給し水流を作っている結構な装置。

鹿児島カテドラル・ザビエル記念聖堂

今年弊社で施工したカトリック津島愛西教会と同じ田代輝久さんが設計を担当したコンクリート造の立派な教会。箱舟をイメージした形態だそうです。

青や赤の色はステンドグラスを通った日射です。ここの施工は竹中工務店。難しい建物をきちんと作っています。

突然の訪問でしたが、教会の方が快く案内していただきました。パイプオルガンも弾いていただき、教会感を満喫できました。

鹿児島市円山公園

鹿児島の街の向こうに錦江湾に浮かぶ桜島の景観。自慢できる風景があってうらやましい。

社員一同でいろんなものを見て、鹿児島の美味しいものも満喫した有意義な旅行でした。

 

実篤旧邸

施設管理のコンサルタントを引き受けている調布市武者小路実篤記念館に、今年のメンテ工事の確認に伺いました。

記念館に隣接して旧実篤邸が庭とともに実篤公園として保存公開されています。

夏を越えて、木々が一層成長しています。実篤先生が住まわれたころは、日々の生活で活用する雑木林だったので、今のような木々の生い茂った感じではなかったようです。20年ほど前にかなり剪定して、陽が入るようにしたのですがまたその必要がありそうです。このところのゲリラ豪雨のおかげか、心配されている湧水の涸れはなく池には清水が入っています。

実篤旧邸は東日本震災前に耐震補強し地震被害はなく(やった甲斐がありました)、2018年には昭和中期の住宅として登録有形文化財に認定されました。従来住宅は適当なメンテをしながら、維持していくもので、耐震補強の際に外壁などを更新補修しています。更新から15年以上経ち、部分的な補修が必要となってきてようです。

記念館から地下通路を通り、実篤公園に。

下の池の散策路(実篤邸の庭には2つの池がある。下の池で船に乗っている写真があります)、木々で池の全景はみえない

旧邸庭側のテラス。テラスの奥はアトリエで、当時の創作で使っていたままの状態で保存されている。

反対側の玄関。玄関脇はギャラリーのようなホールがある、壁の窓は上部に小さくあるが天井には天窓があって自然光が入るモダンな造り(昭和36年ころ)。

テラスから今は垣間見れる上の池。湧水池にほぼ直結なので水温が低いようで、それに合わせて鯉ではなく、ニジマスを飼っている(在住の頃から)。

津島市の教会 献堂式

昨年末より、建築してきたカトリック津島愛西教会が無事完成し、献堂式が行われました。設計は時空間計画 田代輝久さんです。田代さんは東京四谷の聖イグナチオ教会や鹿児島カテドラル ザビエル記念聖堂を設計した実績十分な方で超有名教会に並ぶ教会を建設するという励みになる仕事でした。

献堂式は一般の建物の竣工式にあたるようなものですが、ただお祝いをするよりも、これから大切に使っていくことを教え、誓うものでした。式は施工者から鍵を受け取り、中に入っていくところから始まります。建設の苦労をねぎらっていただき、神様への感謝を示します。

実際に使っていく事初めとして、建物に油を塗ったり、香を焚いて香りをつける儀式などを行います。臨席するたくさんの信者さんたちと、大切に使っていくことを具体的な行為を通し、共感を高めているように思えました。

およそ2時間の式典でした。完成した建物をとても丁寧にお引き渡しさせていただいた印象です。

一つの大きな屋根の下に集うイメージ設計された聖堂。全て本物の木に包まれたやさしい空間。

各所から集められたろうそく。周辺の信者さんの思いが集まった象徴です。

この教会の一番の魅力。屋根を支える構造部材。効果的に照明が配置され、聖堂の重要な意匠ともなっています。パーツは一般的な木の製材。それを繋ぐ金物は勾配に応じ3Dの傾きがそれぞれ異なりパーツの作図から苦労しました。1個1個をミリ単位の精度で手作りしていただいた金物製作所に感謝です。精度管理の甲斐あり、現場で滞りなく組み上げられました。

旧羽島市庁舎 利活用シンポジウム

新庁舎が運用され閉鎖された旧市庁舎と坂倉準三の生家の酒蔵を含む羽島の街並みの見学会とともに、利活用を考えるシンポジュウムが開かれました。シンポジュウムの会場は旧庁舎と同じ坂倉建築研究所の設計の市民会館です。100名を越える会となりました。

羽島市議会では旧庁舎解体のための設計業務が予算決定され、解体が正式にきまったことになっているようです。市が募集した利活用案には、市からの回答はないままとなっているようで、保存を求める市民グループは、市に説明を要望する署名活動を進めているのが現況です。

シンポジュウムでは、他の保存利活用の事例の紹介、解体の理由の一つとなっているコンクリートの耐久性についての最新研究、文化財保存法の位置づけに掛かる事項の紹介、利活用の2つの提案の紹介がなされました。

解体が議会で正式に承認されたことの重要性、市民の活動より所有権を持つものの意向が重点をもたれることが改めて認識されました。

建物を買い取るなど、より踏み込んだ活動を提案するなど、強い意志を表明する意見や活用を可能性よりも、取り壊す理由をより議論すべきとの意見がありました。

シンポジュウム会場の羽島市民会館

手前が旧庁舎、奥にあるのが新庁舎

2つの村が合併する中間位置に立地のため、両方が正面となる配慮。南北同一の見え方。市役所・議事堂・消防署・図書館の複合用途のため、大きなピロティと3階に至る外部スロープが計画された。

坂倉準三の生家、千代菊酒造。古い町並みの重要な一要素。

シンポジュウム風景

利活用提案の展示

津島市の教会 上棟

津島市の木造教会、26日上棟式でした。

1階建て木造の教会建築ですが、聖堂部分は天井の高いと特別な空間となっています。

その空間をつくる梁は、2段の梁材をV型の斜材でつなぐ形状となっています。梁を構成する部材の接点が製作金物となっています。傾斜のついた梁の上に取付、上弦材への角度が異なる金物製作は一苦労でした。金物の板形状、ボルト穴位置を最終的な立体になるよう2次元の図に落とし込んでデータ化し、そのデータでレーザーカットしたものを職人さんが1枚ずつの板の傾きを確認する治具を使って製作してもらいました。

出来上がった金物は各部を平面で寸法確認できないでの計れる点を作図して、実物の金物の寸法があってるかを確認することしかできませんでした。精度が悪いと現場で組みあがらなくなってしまうので。1mm以下の誤差とするよう管理しました。

苦労の甲斐あり、許容時間内で組み上げられホッとしました。金物製作屋さんの精度に感謝。うまく入れてくれた大工さんたちもご苦労様でした。

金物製作中。

建て方はじまり。

聖堂下弦梁を設置

上棟です。

前橋のまちづくり

群馬県前橋市の中心部商店街に著名建築家が手掛けた建物が集っていると知り、見てきました。

最も目立つのは藤本壮介さんのホテルの白井屋ホテル改修です。その近くの商店街の中に若手の建築家が店舗をつくっています。メガネチェーン店のJINSさんが地元活性化のために尽力して世界で活躍する建築家・デザイナーが手掛けています。

廃業間近のホテルを大幅に改装しています。古いコンクリート造の建物の床を取り払い太陽光の入る空間を共用部としています。その空間に面する客室をデザイナーたちが手掛けています。宿泊費はかなりの高額です。4層分くらい吹抜で明るく緑の多いカフェは、女性客でにぎわっています。雰囲気、料理とも都会と変わらないものでした。


歩行者空間を想定した裏通り側は藤本さんの特徴的な建物になっています。パン屋などの店舗とギャラリーで街の人たちも来られます。

隣りは谷尻さんの建物が建設中で、さらに建築家のつくる街並みが出来上がっていくようです。

その裏通りを進むと元前橋セイブだった建物を市が買い取り美術館に改装したものがあります。セイブは坂倉建築研究所が設計してました。

通りを戻ったところが中心商店街で3軒の建築家(中村竜治さん・長坂常さん・髙濵史子さん)が手掛けた建物が並んでいます。店舗裏の中庭を共有する形で建っていて、アーケードに面してファサードデザインだけでない建築的な空間の面白さも整っています。その隣の空き地には永山祐子さんの建物の建設が始まっていました。


少し歩いたところには平田晃久さんの集合住宅の工事がかなり進んでいます。アーケードの店舗以上に普通と異なる集合住宅が予想されるので、前橋でどんな評判になるのか興味がわきます。これら普通じゃない施工も地元建設会社なのも、立派です。

商店街の中の小さな店舗たちが、建築的な魅力をもつことで、街の楽しさを増やそうという取組、行く先に興味深々です。3軒並びのパスタ屋さんは、地元の人から美味しいお店として、TVにも紹介されていました。白井屋ホテルもそうですが、建物だけでなく中身も充実しているところがしっかりしています。

前橋は坂倉建築研究所の建物が比較的多い街です。前橋市庁舎、群馬会館の公共建築、街を代表するホテル・群馬ロイヤルなど、街の人が誇れるような建物たちです。できてかなり時間が経ってしまって劣化も見られますが、まだ使われています。

中心地を離れたところにも、建築家らしい物件があります。

永山祐子さんのJINSPARK。若い家族が日常的に来れる場所として、パン屋を併設したメガネ屋さんです。小さく子供と一緒に過ごるよう屋上庭園や建物周囲が整備されています。

ほかにも住宅街のなかに、藤野高志さんのギャラリーやパン屋の建物群があったり、建築家の仕事に触れやすい街と言えます。

高崎市にも良い建築がい幾つもあって、県内あちこちに有名建築がある群馬県は建築文化が高いところです。

 

 

千葉の風景

1月に住宅の相談で伺った房総半島の真ん中に位置する敷地を再度訪れました。

千葉は高い山がなく、丘と田畑ののんきな印象の地形と思っていましたが、計画地のあたりは切ったった崖地が多くあります。そういえばチバニアン千葉時代」と呼ばれる古い地層が見られるのも、この付近でした。

敷地は写真も森の頂、樹形のよい針葉樹のあるところ、高さ30mほどの崖地の上です。

敷地からの眺め。ほぼ人家の見えない好立地。田んぼがあるのも原始風景になりすぎずむしろ良いかと。

東京からのアプローチとなる道路が計画地まで整備されていて、都心から1時間くらいで来られます。その先は鴨川につながり、観光アクセスが良くなると伺ったので、鴨川まで行ってみることにしました。

広い道路は敷地までで、その先は細い山道、かろうじて舗装はされていますが、途中で途切れてしまいそうな林道です。たくさんの素掘りのトンネルを抜けていきます。今までのイメージとは違う山深い千葉の風景で、魅力度がアップしました。

房総の家々は生け垣に囲まれているのが特徴です。以前外房のホテルを計画していた際にも見ていましたが、イヌマキを主体とした密度の濃い生け垣と低く伏せた寄せ棟の住宅がこの地域を特徴つけているように感じます。

残していきたい風景です。

外房の海、キレイです。

以前計画していたホテル付近↓。土地は以前のまま。海は東京オリンピックのサーフィン会場に至近で、サーファーでにぎわっていました。

 

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