震災後6年間にできた建物を見てきましたin宮城県
山元町第2小学校
設計は大手設計事務所の佐藤総合と若もののSOEPさんの共同設計です。
盛り土で新しく作られた土地に作られています。周辺住民の活動の場として設計され地ますが、まだ周りは街らしさに欠けています。
2階建ての建物の楽しさがあります。外部にも木の要素があり、中庭空間が丁寧に作られていて、優しさの感じられる建物です。大手事務所の大規模建物の処理能力と若者の今風の感覚でうまく仕上がっています。
七ヶ浜町中学校
設計は乾久美子さんです。ほとんど平屋の中学校。中庭に張り出した透明性の高い小スペースが特徴。乾さんとしては出来栄えに満足していないようですが、天井の連続感、連窓の大きな窓の構成などで、都会的なすっきり感・透明感が感じられる建物です。
平屋や2階建ての建物って、外光が十分入って、いろいろ楽しく作れそうです。
女川駅ゆぽっぽ
JRの駅に温泉と交流空間が一緒になった施設。設計は災害地建築で活躍する坂茂さんです。坂さんらしい屋根構成の建物。ちょっと違和感はあります。プラットホームまで自由に入れて複合化の面白さを十分見せています。
足湯もありました
シーパルピア女川
女川駅前のショッピングモール(商店街)。設計は東利恵さんです。駅から海に向かった軸線を通した配置で堂々としています。床屋さんとかあって本来は街の駅前商店街のようですが、ちょっとオシャレすぎて観光地的な雰囲気です(ちょっと高さそう)。来ている人も観光の人が多いようでした。
東さんの特異な建物形状を使っていることもあり、軽井沢とかににあるような都会的な観光施設ぽい感じがしてしまって、土地性が薄くなってるように思えます。敷地が造成されたところにあり、地形など外的要素が少ないことも、特異性を失うことにつながっているように思えます。
坂さんの女川駅展望台からの風景
海の見えるテラスのカフェ、レストラン
仮設コンテナ住宅
震災の仮設住宅として、野球グラウドの中に作られた集合住宅。設計は坂茂さん。コンテナを積んだ建物ですが個別のコンテナ単位はわからなくなっています。普通の外壁に色分けされているように見えました。仮設といっても、安全性を著しく怠るわけではないので、どういったところが仮設住宅なのかと。ここを見る限りは設備関係は隠ぺいできなかったりしても仕方なしということは仮設の一要素。地盤との固定条件の緩和もあるようです。
女川運動公園住宅
3階建てで中庭を抱えた集合住宅。竹中工務店の設計施工。日常動線と緑を取り入れた中庭が魅力的です。共用廊下も変化の要素をいれて、中庭周りに楽しい雰囲気を作っています。
女川では竹中工務店がかなりの部分で復興にあたっていようでした。まだまだ開発途中ですが、1町1社でコストメリット・統一感など、良いメリットが勝ると良いです。
南三陸さんさん商店街
平屋木造で隈研吾さんの設計です。復興の表れということでかなり話題になっています。観光バスが何台もきていました。建物は、過分はなく、きれいにできてます。コストも過大に掛けられないので、東京の有名な建築家の方がやらなくても、地域の建築家がやってもよかったのではないかという施設でした。
南三陸町役場
大手事務所の久米設計東北支社がプロポーザルで選定、設計。若手の設計士が頑張ってやられたと聞きました。要素が整理されていて、きちんとした印象でした。木の要素、素材感があって優しさもあります。
あさひ幼稚園
昨年、三重建築家協会の講演に来ていただいた手塚貴晴さんの設計。
講演会の説明で切り崩されていく地山の記憶を残す建物とうかがっていましたが、思ったよりも残っている山が小さく孤立しているのに驚きました。
山を覆っているクローバーは魅力的でした。
メディアに出てくる建物は、都会の建築家・設計事務所のものが多いようです。もっと地元感のある建物ができるかと願っていたのですが、そうはいかなったようです。