八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

伝七邸とコンビナート夜景

日本建築家協会の東海支部の役員会が四日市で行われ、愛知、岐阜、静岡で活動している建築家が「伝七邸」に集まりました。

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伝七邸見学の後、会議に。

今は寂れた感じの旧築港界隈にあるのでより立派さがきわだつのか、伝七邸への皆さんの評価は高いものでした。きちんと設えてあるので、市外の方たちは、四日市の人たちに、よく使われているところと思われたようでした。

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会議の後は潮吹き堤防を見るなど旧築港付近を散策、特別手配でそこから夜景クルーズに出発しました。多くの方がナイトクルーズということでワイングラスでのパーティに相応しいような船を期待していましたが、工場の街、四日市らしい海上保安庁の系の船です。

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クルーズにはボランティアガイドの方が同乗していただき、船や工場の見所の説明を通して、コンビナートが四日市にとってなくてはならない存在であることを教えていただきました。各工場で作られるものが広く流通して全国で使われていることがより実感をもってわかります。人知れず役立つものづくりの街としての四日市の存在が少し誇らしく感じました。夜景はバブル前からすると照明も少なくなったとの説明があったように、以前のイメージよりは華々しさはなくなっているように思えます。

単にキレイな夜景というのではなく、産業の活力の現れである景色として、十分人を惹きつけるものだと思いました。

吉田五十八 

日本建築家協会三重地域会の会員のための講演会「吉田五十八の近代数奇屋住宅」を聴講しました。講師は三重大学の大井隆弘先生です。

生い立ちと現存する住宅、住宅を分析して作風の変化、その価値などを講義されました。

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十数件の住宅が現存し、その大半が公共的団体所有で見学が可能のようです。
前職の設計事務所に入社したての頃、ホテル内の日本料理レストランの設計をしていた頃でかなり吉田五十八作品を見入っていた記憶があります。少し前から流行っているモダン和風の要素がいっぱいあって伝統的な日本家屋ではなく、少しインターナショナルな和風建築を目論むには良い参考と思っていました。今回の講演で、有名な胃腸薬太田胃酸の創案者が五十八の父だったことを始めて知りました。最初に事務所を開いたのも丸ビルの中だったそうでかなり裕福な育ちです。その頃の上司は東京芸大出身だったので、吉田五十八の見所をいろいろ教えていただきました。その上司は、吉田五十八の建築の繊細さ上品さは、その人の育ちの良さでできるているので、一般人が真似るとひどく安っぽいものになるから、やらないほうがよいと言っていました。

私の思うところ、建築の大道に自らの存在感を表すことを目指したのではなく、自分の良いと思うものを世間にとらわれずつくった人かと考えています。なので建築学的な研究はやりにくいと思ってました。これまで五十八の研究はあまりいなかったように思います。

 

住宅見学

元職場仲間の遠藤誠さん設計の[洗足の住宅]の見学会に行ってきました。

木造軸組在来構法の地上2階地下1階の都会の住宅です。

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地下の利用と道路との視線処理、空間のつながりを考え合わせ、スキップフロアの構成となっていました。

真ん中に全巾にわたる吹抜を挟んだ形になるので、構造的には2つの建物となってしまい耐震要素をそれぞれ確保するのが小さい家の場合難しくなります。

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間口一杯広がりの取りたいリビング部分はロッドのブレースで対応されていました。

また防火・準防火地域ではリビングの窓に耐火性能確保のため、網入りガラスやサッシュン規制が掛かって快適なものにならないことが良くあるのですが、袖壁や開口のセットバックでうまく法的条件をクリアして、窓の制約を解消されていました。

本日、上棟

四日市市高砂町で小さな建物が本日上棟です(祝!)。

敷地前の道路は巾2m少ししかなく、重機を使う建て方が困難な周辺条件です。

平屋かつ規模も小さいので、昔のように人力のみでの組み上げ、上棟となりました。

熟練の大工4人で手際よく、作業が進み1日で家の姿となりました。お施主さんも、出かけるときは何もなかったのに、朝一の用事を済ませている間に骨組みが出来上がっていてびっくりしていました。

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夕方までに外部サッシュも取り付け済み。さすが熟練のみなさんです。

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みえの気候風土適応住宅勉強会

 第4回目のみえの気候風土適応住宅勉強会に参加してきました。

国土交通省から、気候風土適応住宅の取り扱いにかかるパブリックコメントの募集が行われています。締め切り10月5日。

気候風土適応住宅という表題ですが、今回提示の内容は、より伝統的工法による家づくりの存続が主眼となっているように思えます(それはそれで大切なことですが)。気候風土適応という名称ではなく、伝統工法存続住宅とかにしていただかないと、新しい工法・アイデアの住宅ができる余地が少なくなりそうで心配しています。

建築士のみなさん、パブリックコメントに積極的に応募していただきたいと思います。

以下がリンク先です。

建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令案等に関する意見募集について

search.e-gov.go.jp

山の中の集落

「日本のチロル」としてメディアに取り上げられている飯田市上村下栗の集落。

ヨーロッパアルプスのような急斜面のなかに家や畑があります。平均斜度30度、最大斜度38度とのことでスキー場の上級者コースほどの急勾配です。

勾配のなかの家は、土地と一体になった構成、そこから見える景色が良さそうなこと、その危うさも、と建築的な魅力一杯です。

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つづら折の道の間に家は表と裏に1階分の高さを違えて接道する特異な敷地条件です。

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設計のやりがいが高まります(仕事の依頼が来ることはないと思いますが)。

ヨーロッパとの違いは家々を構成する素材の多様さとスキー場のリフトのように並ぶ電柱の存在です。アジアの特徴をもつ風景なので「日本のチロル」という西洋に憧れるような例えより、独自の表現を考えたいところです。

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集落一望できる展望台を住民協力で作られたそうで、いかにも人力で作った簡易なステージで環境にもやさしくていい感じです。

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そこから見た風景。

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集落の向こう側もその手前側も深い谷筋の森林が続きます(集落のかなり下に渓流といえるような川が流れています)。集落には断片的に整備された頼りない国道から10kmほどの山道を通らないと来れないので、全くの山の中に忽然とあります。

この集落を存続するために、他から人が来てもらえるよう集落の上の少し平らになったところを開いて30台ほどの駐車場とミニ道の駅のような施設を運営しています。急勾配の家々の特質からすると、どこにでもあるような施設感でイマイチそぐわない感じがあります。ここのような独自で素朴な生活を存続させる、より自然な持続性は無いものなのでしょうか。なぜこんなところに住み始めたのかも不明のようですが。

高校生インターンシップへの協力

今年も地元工業高校建築学科のインターンシップに協力しています。

このところ女子生徒の参加がつづいています。工業高校でも女子の割合が40%だそうで私が学生の頃からは考えられないほど女子が増えています。大学や大手建設会社・設計事務所の友人たちの話を聞くと建築界の女性進出はかなりの増になってくると思えます。

いつも模型製作をやってもらうのですが、今回の生徒さんは、これまで模型を作ったことがないそうで、かなり厳しい実習だったかと思います。

気分転換をかねて、まもなく竣工の住宅の外構工事の打ち合わせに同行してもらったり、測量の助手をやってもらったりしました。模型つくりにはかなり苦戦していたようですが、模型の楽しさも感じてもらえたようです。

少しでも建築に関心ある人たちを増やすべく、建築の楽しさ、意義を伝えられるよう協力を続けていきます。

www.hattake.co.jp