設計業務の一環として所属しているNPO法人の研修に参加して、福井市近辺の建物を見てきました
福井市防災センター
1948年の福井地震の教訓を留めるよう、整備された施設。当時の最大震度6、現在の震度7の揺れを体験できる装置がありました。激しい揺れの中では、自身の身を守ることしかできないことを感じさせる体験です。東日本震災の際、震度5強の揺れを体感しましたが、実際の地震だ揺れがこれ以上大きくならないかとか、いつまで続くのかが分からない不安が加ってきます。そこが大きな違いです。
黒姫酒造
酒蔵がつくったレストランと試飲・買い物のできる施設です。古谷デザインさんの設計です。都会的な印象のシンプルで洗練された建物です。対面する川と山の風景がとてもきれいに見えます。古谷デザインさんは東京・調布市深大寺の近くにも洗練した印象のレストランと物販の建物をつくっています。こちらの施設のほうが大きい分、建設単価は抑えられているようですが、魅力付けは十分です。
簡単な形状ながら、外壁は本物の焼き杉。上等な印象です。
地中の貯蔵場はかなりこだわりを持ってつくられてます。
外構の石はこの地方特産の笏谷石を使いこの地ならでは特徴づけも配慮されているようです。
福井市美術館
黒川紀章さんの設計。新国立美術館のように円錐のガラス外壁が特徴の建物でした。建物の規模が小さいためだと思いますが、外壁ガラスを支える柱やサッシュが目立ち、ちょっと窮屈な空間なっている印象でした。山下清さんの展覧会が催されていて多くの来館者がいたので余計にそう感じたと思います。
内藤廣先生(学生のころ、芸術学校でアシスタントをさせていただいていたので先生との呼称)と地元設計事務所の設計、最近できた建物です。外壁のチタン合金葺きや厚い鉄板の使用、内部の厚みのある木の内装など素材感ときちんとした納まりで、建築としても勉強になる建物です。展示も実物大本物の木を使った屋敷の復元や町並みの模型、建設途中に出土した遺構を建物内に取り込んだ発掘現場(現在も調査中)など展示も充実しています。案内をしていただいた地元ガイドの方の説明内容も歴史学者レベル(そういうきちんとした方)で地元の朝倉氏に対する熱い思いが感じられる見学でした。
建物は十分きちんと作られて立派ですが、内藤先生の魅力である躯体自体を見せる空間が無いのがちょっと残念です。少しコストを配慮したのでしょうか。
博物館で十分遺跡について学習できたのですが、遺跡本体は時間がなく見れませんでした。また個人的にゆっくり見に行くこととします。