八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

上棟しました

鎌倉で建設中の住宅が上棟しました。

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家は低く見えるほうが上品という諸先輩方の教えに従って、全体高さを抑えています。入り口側の軒梁高さは地面から5mほどになってます。土地の高低さと吹抜をつかって居住空間の圧迫感はないように配慮しています。

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今日は強風のため波浪警報が出ていますが、計画地は山影で作業に支障ない程度です。

名古屋駅前 高層ビル

1年ぶりに名古屋マリオットアソシアホテルの宴会場に行きました

JRセントラルタワーズの隣りにJRゲートタワーが出来て、駅前は東京の再開発地区と変わらないくらいの都会の風景です。

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<宴会ロビーから、スカイストリートとゲートタワー>

タワーズとゲートタワーは15階のスカイストリートで繋がってします。空中に公共性の高い通りを作り、そこにホテル・デパート・オフィスが面するというセントラルタワーズのコンセプト・立体都市構想が発展しています。ゲートタワー側にはスカイストリートに庭もあります。

地上部には、駅前広場からゲートタワーを抜け、JPタワーを貫いて北側に抜けられるプロムナードが作られています。これまでなかった北方面への楽しめる動線ができて新しい人の動き、にぎわいの延伸が期待されます。このプロムナード、中央コンコースから1層上がった2階のレベルにあるのですが、多くの通行量のあるJR改札から地下鉄につながる動線から、プラムナード空間の広がりが視認されないのがもったいないように感じます。まだ商業部分が開業していないので実際どうなるかわかりませんが、楽しい雰囲気が見えてれば誘引力もさらにあると思います。

プロムナードで繋がるJPタワーは、店舗は少ないですが、地下から2階のプロムナードまで一見できるアトリウムは、トップライトから自然光の入るゆったりした落ち着きある雰囲気で東京でも少ない都会的な空間になってます。落ち着いた雰囲気は隣接のオフィスエントランスにプラス効果となっています。また地下から2階までの空間が見えることで今まで認識されにくかった地下街の北端に人の流れを作れそうです。

 

 

空き家×まちづくりフォーラム

伊勢河崎「新・蔵くら談義ⅩⅢ」~空き家×まちづくりフォーラム~

伊勢市河崎商人館で開催されました。

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研究報告として、三重大学浅野研究室の町並み復元模型・伊勢河崎の昔の風景映像。

伊勢工業高校建築学科生徒さんによる町屋リノベーション提案・皇學館大学CLLメンバーの地元イベントの今年度の活動が紹介されました。それぞれ河崎まちなみ保存を広める活動です。みなさんしっかり取り組んでいて、成果品は充実しています。(展示は部分的ですが引き続き商人館で継続されるようです)。

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基調講演としてNPO法人尾道空き家再生プロジェクト専属スタッフの神田太郎さんの

尾道の空き家再生プロジェクトの取組み」、尾道で行われている空き家再生の実績と関心を生む様々なイベントの事例の紹介がありました。その後、河崎に関わる地元の方々とのディスカッションとなりました。

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尾道では、古い建物を守っていこうとする強い思いでNPOの方々が頑張っておられるようで、行政の思いも厚いようです。尾道は海(島に挟まれて、川のような形状ですが)に向かった南面の傾斜地に豪商の別荘とお寺が並ぶ、穏やかなたたずまいの魅力的な街で移住希望者は多そうです。空き家バンクを介し、10年で150人ほどパン屋さんや靴屋さんなどのモノづくりの人たち、アート関係の人たちを中心に移住されてきているそうです。

NPOの直営事業としてゲストハウスやカフェを運営し、空き家利用と活動維持の資金集めもされているとのことでした。

空き家利用、町の活性化は、人々に愛着をもってもらうと同時に、その町独自の魅力・適性を見極め、収益事業につなげていく必要があると思います。建築の仕事の風土や社会に関わり、人と人をつなぐ役割が発揮されるべきところでしょう。

この伊勢河崎の強みは何と言っても伊勢神宮が身近にあることです。世界に通用する特質で十分な活路があると思います。

 

手塚貴晴さん講演会

前回予告した手塚貴晴講演会「建築を超えて」が開催されました。

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150名ほどの聴衆で若い方が前回よりかなり多くを占めています。

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これから建築家を目指す人に向けて大切なことを伝えたいという講演となりました。

自らの生活に幸せを感じることが、人に幸せをあたえるという建築家の使命にとって重要という観点で、手塚さん自身のご家族の話から始められました。

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作品の紹介を通して、大切にしていることをお話いただいたのですが、今回は子供から発想することを中心に、屋根の上をつかって子供たちが楽しく走り回る作品を数点、現在進行中のプロジェクトもご紹介いただきました。

子供(人)本来の姿を体現できる建物づくりを目指していらっしゃるとのことでした。

楽しそうな作品写真と上手なお話ぶりで、2時間の講演もアッという間に終わりました。

旧朝日町役場 耐震補強工事

三重郡朝日町にある旧朝日町役場(現朝日町資料館)の耐震補強工事現場説明会に行ってきました。大正5年(1916年)に建てられた木造2階建て延べ床面積234.1m2の建物です。1階は事務関係諸室、2階に議事堂を設けた地方役所建物の特徴をよく留めているとして平成12年に国の登録有形文化財となっています。

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耐震工事の内容は、屋根の重さを減らすために土ぶきの瓦屋根を釘で固定する乾式の軽量瓦への葺き替え。水平剛性を持たせるため屋根面と2階床面に合板を設置。腐食や虫食いでなくなっている木造構造体の置換。地震の横力に対抗する耐震壁の設置とそれを支えるためのコンクリート基礎の設置です。

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1階の事務スペースは36帖の無柱空間で、ほとんどが窓や通路で耐震要素となるか¥べがなく、その分開放的で、気持ちよさそうです。4間半(8.2m)の梁を受けているのは両端1本の独立した形の普通の柱で少し頼りない感じです。

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2階はこの事務スペースの真上に半分の広さの議事堂が配置されています。その上はトラス梁の屋根になっているそうです。大きな空間の上に同じような大人数が乗る部屋となっているのも、構造的には無理をしているように思います。

今回の耐震工事で建物の4隅には耐震壁が設置されます。従来の土壁や窓の内側に壁をつくります。既存のものはそのまま残し、将来壁を外せば、昔のものが見られるようにするとのことです。

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基礎挿入工事の記録写真

土台については、従来ののべ石に、ただ乗っている状態から、現在の耐震基準に合うよう基礎を作りそれに固定します。部分部分で建物を支持し、その下を掘ってコンクリートの基礎を作っていったそうで、かなり手間のかかる工事になっています。

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工事による床解体によって、建物が改造されている痕跡が出てきました。玄関部増築前の事務空間の土間です。コンクリートではなく三和土で作られています。工事に支障ない部分はこのまま床下に残置です。

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新旧の瓦。古いの

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新しいの

瓦の寿命の目安は100年くらいと言われます。今回大屋根の瓦は耐震性の向上のため全面新しくなりますが、古い瓦で損傷のないものは下屋で再利用されるそうです。新しい瓦、風合いが劣る気がします。

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この建物の普通じゃない部分。2階床の1方の床梁がありません。イタリアの建物みたいな構造で地震に弱く、なにより建物をつくるとき、柱の位置が固定できず非常に建てにくかったと思います。材料を節約する必要があったのでしょうか?

本来、この建物は法隆寺のような古い建物と同じように土台が地面に固定されず、地震の際は、建物形を壊さずにズレ動くことで崩壊を免れるしくみなのですが(濃尾地震ののときのかなりの揺れにも耐えています)、現在の耐震診断の基準の数値化する必要があり、固定して揺れに反発する構造に変更となりました。大きな弱点であった屋根荷重をかなり低減できたので、本来のしくみでも倒壊する可能性はより少なくなったと思います。せっかくの文化財指定なら、現行法規を越えて対地震対策も保存すべきところかと思います。

旧役場のすぐ近くに朝日町小学校があります。昭和30年代同じような円形校舎が百校以上作られたようですが、現存しているはわずかなようです。近年児童保護のため、中を見ることは容易にできません。子供のころに一度中に入った記憶がかすかにあります。

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手塚貴晴さん 講演会

来週末 1月22日(日)、日本建築家協会三重地域会主催の建築文化講演会

「手塚貴晴 建築を超えて」が津駅前アストプラザ4階のアストホールにて催されます。13:30~15:30(開場13:00)入場無料です。f:id:hatt88:20161118095607j:plain

最初にイギリスの有名建築設計事務所に勤めた経験からか、一つ一つのパーツから積み上げてつくる建物は、日本の一般的な建物づくりとは異なる作品となっています。

帰国後初期の軽々した構成の鎌倉住宅、多くの賞を受賞したふじようちえんなど、単純に気持ちよさそうな建物をつくられていて、何作か見学させていただいたことがあります。

最近は一つの建築物の作られる意義についてのコメントが多く、今回の講演も建物自体の紹介ではなく、今お考えの思考についてが主題になるのではないでしょうか。

建築の文化的な意味を一般に広めるイベントで専門家向けの講演ではないので、すこしでも興味がある方は是非来てください。

 

多治見の建物

多治見市に藤森照信さん設計のタイルの美術館ができたので見学。

「多治見市モザイクタイルミュージアム」2016竣工。日本のモザイクタイルの発祥の地という笠原町の街中に建ってます。

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外観は藤森さんの得意とする自然素材と不整形な輪郭、屋根の木で、インパクト十分です。来る親子連れはカワイイを連呼してます。質感の良さが際立つサイズ感・使い方でくまなく納められて、一般の方も本物の良さを感じられるので、好感がもたれるのでしょう。

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建物は4建てのビルとなっているので、室内は藤森さんの得意とする高さ方向の広がりは最上階のみで、いつもの面白さは感じられないように思います。藤森さん建物は手作りで地面から生え出たような感じが良いのでしょう。

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展示の内容は、当地のモザイクタイルの歴史と現在のタイル産業の案内です。昔の家々にあったタイル張りの流しやお風呂など、結構魅力的な品が展示されています。

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現在のタイル情報を見せるところでは、当地で生産しているタイルについて、在中している方がいろいろ相談を受けていました。こちらがほしいタイルイメージを話すとそれに近いものを地域内でつくってそうなところを教えてくれます。小さな会社の独自のタイルを探すのは困難なので、とても役立つ施設です。

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今井兼次先生のモザイクも笠原町産だったようです。

「セラミックパークMINO」 磯崎新 2002年竣工

陶器の産地に陶器に関わる体験と交流の場として作られた展示場・ホール・ミュージアム・交流施設の複合体。

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うまく山地形に埋め込まれるように配置されていて巡回していて楽しく、ボリューム構成も流石に上手です。各ディテールもきちんとしていて、かなりコストを掛けている印象です。正統な建物なのでもっと使われると良いと思います。

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滝を介してつながる茶室部分。茶室の内部は見れませんでしたが、きちんと和風です。水中の石も色、仕上げに変化を持たせ、自然感のある上質な人工滝を作っています。

美濃焼ミュージアム

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美濃陶芸を展示する施設。多治見周辺は土と燃料になる木材が豊富で遺跡から出土するほど古くから焼き物の歴史があるようです。隣接する瀬戸が有名でひとっまとめで瀬戸物として扱われていたそうで、瀬戸以上に焼き物が多いようです。ミュージアムには多治見の焼き物の歴史がコレクションとともに説明されています。

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千利休の好みの楽茶碗にならった瀬戸黒の茶碗や志野焼き、それに続く織部、その後の小堀遠州好みの御深井(おふけ)などが歴史順に並べてあり、わかりやすい展示です。

企画展では、各地で賞を獲得した地元の若い作家の展示がありました。(四日市万古焼をルーツとする白木さんの作品も。)

大きな施設ではないですが、程よい量の展示で焼き物の基礎を理解するにはちょうど良いものです。

「多治見中学校」象設計集団 2001年竣工

Team_Zooの建物はできた当時はちょっとバナキュラー表現が重い印象がありましたが、時を経ると配置された植物や建物の経年変化で、その特異性は薄くなって、クールな印象の建物より、印象が良いように思えます。

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2001年竣工なので、昔のよりは爽やかな建物です。それでも複雑な建物形状とたくさんの植栽は、今風のものとはかなり異なります。ここも時間が経ってなじんでいるように思います。

先日、岐阜市のメディアコスモスを見てきましたが、岐阜県、古くから建物に力入ってます。

 

 

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