建築家協会の見学会・講演会が開かれ、注目されている岐阜市立みんなの森メディアコスモスを見てきました。設計は世界でも著名な伊東豊雄さんです。
県産のスギ材を使った曲面の大きな天井の下に、図書館を中心とした施設(ホール・ギャラー・イベントスペース・会議室など)が配置されています。図書館の閲覧部は1フロア1室空間で、トップライトのある半透過の傘の下の空間が特異点として、空間にアクセントをもたせています。
使われている建材は、それぞれ素材感を活かした使い方で、全体の質感を保ち、素材の使い分けによる機能(部屋)の差異をさりげなく表しています。日本を代表する実績ある建築家の作だけあって、それぞれの納まりもきちんとしていて、世界レベルの建物と思います。コンクリートやガラス、鉄などの材料がカバーされず表しになっていて、その素材の強さを感じる欧州建物にある魅力を持っています(日本の多くの建てものは綺麗にカバーされて迫力にかける気がします)。
事務スペースはオープン。市民活用の機能をもった部屋が大きな空間のなかに囲まれた存在としてあります。
外部にも、杉材の線材の意匠が施されていますが、それほど時間を経ていないのに少し劣化感が出ています。雨かかり部分の木の使用のデメリットを考えるとこの杉はなくてもよいように思えます。
四角の外形を抉る形でテラスがいくつかあります。どのテラスも人が出ています。内部は広々しているのですが、嵌め殺しのガラスが大半なので、自然の空気を感じることができないので、テラスに人が出てくるのかもしれません(図書館のなかで話しにくいこともあるのでしょうが)。
家具も素材そのままの風合いを重視。コンクリートと再生木で構成された本棚。
ついでに隣りの北方町に少し前にできた集合住宅の様子も見てきました。
ハイタウン北方:2002年・妹島知世 高橋晶子 クリスティー・ホーリィ エリザベス・ディラー マーサー・シュワルツ 女性建築家のみ1団地計画。プロデュースは磯崎新でした。話題性は十分の企画です。
天気もわるくて、ちょっとさびしい感がありました。
妹島棟:各住戸にテラスがあります。バルコニーはなく、都会的な外観になります。
空室率10%程度
ディラー棟:メゾネットタイプの住戸の集合
フライングコリドール(部屋から離れた共用廊下)も採用され、共用廊下側も個室のプライバシーが守られます。
空室率40%くらい。南側窓が小さいのは日本人(特に地方)には嫌われるかも。人気ないのが理解できる。
高橋棟:住戸内は昔の民家のような田の字プランで開放すると1室になり自由度高い。
空室率5%くらい。一般的な集合住宅にちかいからか?
ホーリィ棟:引き戸による間仕切りで、住み手のアレンジが可能。
空室率10%程度。派手な外装パンチングメタルがなければ、もっと人気でそう。
R状の住戸配置で玄関は廊下から少し入り込んだ形になっている。よりよく住む工夫がありそう。
全体として、ちょっと空室が多いような感はありますが、魅力は十分。都会にあれば十分評価されそうです。
その隣接の北ブロックはより普通なのが建ってます。一様フライングコリドール。特別感薄い。
以前見に行った各務原の伊東豊雄さんの葬祭場「瞑想の森」もよくできた建物でした。古くは、坂倉準三の羽島市庁舎や岐阜県文化会館など岐阜県には、いろいろ建築家の建物があります。三重はかなり負けてます。