八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

西伊豆の建築

伊豆大仁にある集客施設 みんなのハワイアンを見てきました。設計は瀧光夫さんで1997年竣工です。瀧さんは植物園建築の第一人者だと思います。茨城県水戸市にある公園施設を以前見学したことがあります。土のレベルまで下げたガラス開口と植栽との関係がとても良いです。緑化関係の書籍も出せるほど緑と建物の関係や植栽のために建築詳細にも研究されています。また建築のパーツに素材感を活かした細かな設計なのですが、どこかアメリカの建物のような大らかさが感じられます(後で調べたら、アメリカ留学の経験をお持ちでした)。

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この建物は元は、造園関係の会社が洋蘭の展示施設として作ったようですが、今は御殿場の有名集客施設の所有になっているようで、施設名称も柔らかくなって、その系列の商業施設になっています。

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瀧さんの建物は、植物の展示・研究の施設のお手本となるようなもので、公共建築が持つべき品格があると思います。作る建物はそんな雰囲気のものなので安い商業施設には向かないとも思えます。

屋根の上の緑化、20年以上の実績があります。中庭につながる半屋外の空間も特徴の一つです。

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室内から身近に感じる植栽。

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スロープもよく使われる建築アイテムです。緑化もされてます。

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日本で、このように見た目シンプルなガラスの壁面は珍しいと思います。

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1階の柱部分だけ区分けするように、コンクリートの仕上げが小叩きになっています。

今、この仕上げをすることは稀ですが、20年前までよくおこなわれていました。手間をかけた素材表現がコスト的には許容されていた時代です。

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トイレのトップライト。位置的に奥まっていて暗くなりがちなトイレに自然光を入れてます。立ち上がり部分は合板素地でワイルドなつくり。ちょっとアメリカンを感じる要素。

愛知県にも瀧さんの作られた愛知県緑化センターがあるので、そちらも行ってみたいと思います。こちらは公共性が高いのでもっと良さが発揮されているのではないでしょうか。

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帰りがけに三嶋大社に寄り、新しくできたらしい「大社の杜」という商業施設を見つけました。

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もと何か建っていたと思われるところに共用の屋外スペースをもった小さな店舗が集ったものです。裏や側道に抜ける経路があって行き止まり感がなくて入りやすい施設計画です。そう言った路地空間が魅力を出してます。近隣の建物の色も塗りなおしたようで中に入ると景色に統一感があります。

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階高を抑えて上下階の人の距離も近く、密度感のあるにぎわいを出してます。壁が銅葺きになっていたり、木張り、亜鉛メッキ素地の階段や柱など豪華な装飾ではないですが、素材感を活かした本物志向の空間です。こういう造りだと売っている商品も本物感が高まります。

三嶋大社の真ん前なので、人通りも多いので商業的には好立地です。ちょっと都会的な雰囲気になっているので若い女性がお参り後にお茶するには最適な感じです。この日は七五三参りで3世代の人たちでにぎわっていました。

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三嶋大社の本社前にある舞殿。壁がなくて柱だけの建物です。写真ではいまいちで分かりにくいですが透け感が気持ちよいです。また重量感がある屋根がボリューム感のない柱で支えている見た目は、どことなく浮遊感があります。

 

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