八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

板倉の復興住宅

東日本震災の木造仮設住宅を県営住宅に転用した城北団地。8月に視察に行ったいわき市仮設住宅と同じ板倉の家です。板倉の家は、木造の柱と柱の間に3cmの杉板を落としこんで壁を作るしくみで、その板が断熱材の役割をもった内装材となり、木質イメージのたっぷりのインテリアを作ります。また耐震性もこの板で確保する木の性質を生かしきったつくりです。

いわき市のものと同じ安藤邦廣さんの設計で、いわきでは解体途中でしたが、ここは先行して常設の復興住宅として転用が完了されています。

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仮設の違いは基礎部分か仮設では木杭、常設はコンクリート基礎の違いのみです。間取りは仮設時の2軒分を1戸として県営住宅の広さの基準を満たしています。住棟配置については各建物の接道条件を守るため、同じ土地ですが配置換えをし、一旦解体保管後、コンクリート基礎を作って再築しています。

木材の再利用率は木杭からのシロアリ被害のため、土台は新材、間取り変更と入口建具のサイズ適応のため、60%程度だそうです。使用材の半分を占める板倉の板は90%の再利用率です。今回の再生費用は新築の場合と変わらないくらい掛かっているようですが

材の細かな傷を良しとすれば80%くらいの費用と見込めるそうです。また廃材も少量となるので、コスト面以外のメリットもあるとのこと。民間に払い下げなどで事務所などへの転用事例では70%くらいのコストに抑えられた例もあるようです。

福島の仮設住宅の約5800戸が木造で作られ、従来のプレハブ住宅より快適な住み心地、地元材の利用、地元職人の労働活用と大きな利点が実証されました。

f:id:hatt88:20181104131732j:plainここも一般的な新建材の木造住宅(2階建て)と同じ団地内で並設されてます

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