八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

深澤直人展

パナソニックの内装製品の実物確認のついでに、パナソニックミュージアムで開催されている深澤直人展 AMBIENTを見てきました

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パナソニック無印良品auの携帯、イタリアの有名家具メーカーの製品などをプロダクトデザインを手掛けています。私の思う深澤さんデザインの魅力は「ふつう」な印象の中のきれいさ、心地良さです。

機能的、便利なことをだけを考えて作ると、素敵に見えない(かっこよくない)ものになってしまうように思います。便利だけど持っていて嬉しいという気持ちにはなれないです。

深澤さんは永く、「ふつう」「匿名性」を考えてデザインされています。機能的な面を十分配慮され、うまくバランスの良いところを見つけられています。普遍性のあるデザインで永く使うことにもつながると思います。(匿名性といっても、深澤さんデザインとわかってしまうデザインではありますが)

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特徴ある線を使わない中立的なデザインは、個性の主張の少ない日本人の特質になったいるように思います。その特性は建築界では評価され、現在世界中の建築家の注目的となっています。プロダクトデザインでもシンプルで主張の弱いデザインは、世界に売れるものではないかと思います

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オークの1枚板のテーブル。単純に脚がついているという表現で、脚のサイズなどを検討したというもの。普通できれいです

日本の家 展

戦後の日本の家と生活を海外に紹介する展覧会 「日本の家」1945年以降の建築と暮らし が10月29日まで東京国立近代美術館で開催されています。

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ロンドンとローマで大好評だったという巡回展で日本ではここだけで開催らしいです。

清家清さんの斉藤助教授の家の実物大モックアップと数多くの模型、画像が展示されています。

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展示デザインはアトリエ・ワンさんで今風の東工大系の雰囲気でできてます。戦後の住宅の紹介ですが、ほとんどは70年以降のもので、私の設計の勉強をなぞっているような印象もありました。

75の住宅が、13のテーマに分類されています。建築は社会や思想の動向を反映して作られる要素が大いにあるので、キーワードで分類されているとちょっとわかりにくい感じがします(その分、新しい観点が見いだせるかもしれませんが)。

海外では都市の構成上、建築家が個人のための家を設計することは稀なので、日本特有の建築ということで、数多くのバリエーションがあることを示すことに主目的があったのではないかと思える内容でした。建築のつくる住宅がどれほど魅力的(いいことある)かを、一般の人にも理解してもらうような展示を期待していたのですが、ちょっと難しそうでした。一般の人には、変わった家をつくる人がたくさんいることは伝わりそうですが。

好みの家、気になった家は

建築家・丹下健三さんの自邸。木造の家ですが、鉄骨造のようなシャープさ、軽さがあります。モダンな中にも和の雰囲気もある有名な住宅です。あっさり壊してしまったので写真のみしか残っていません。

阿部勤さんの自邸。

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竣工からずいぶん経った今もメディアに取り上げられる家です。広くはないですが、密度感があってしっとりした良い雰囲気があります。阿部さんは事務所の先輩なので、何度かお会いしていますが、ご自身のセンスのよい生活感そのままの住宅だと思います。この模型では、居心地の良さは伝わりません。

石山修さんの自邸・世田谷村。

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私の自宅の近くにあり、外からは実物を見たことがあります。町中の材木屋さん(1階が材木置き場で高い2階に事務所)って感じの建物(私観です)。実際に1階は事務所・作業場で2階以上がご自宅。秘密基地みたいですごく楽しそうです。ご家族には不評と伺っています。

生物建築舎さんの天神山のアトリエ。

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今、若い建築家の方々で、内部、外部が入り組んでいるというか、建物の境界が弱いのが流行っているように思います。模型の表現だとそれがすごく開放的で心地よく感じるように映ります。実際に作るとなかなか難しいですが、うまく作っているなあと羨ましく思えるものもあります。

実際の建物はコンクリートの外壁が強い印象で際立ち模型のような自然観は減少してます。

藤本壮介さんのHouseNA。

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計画発表当時のこの模型を見て、こんな家建つのかと思っていましたが、実際に建っています。どのようにお住まいなのか、興味深々ですが、展示にはその様子はありませんでした。

好みとかではありませんが、安藤忠雄さんの住吉の長屋

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安藤さんが一躍有名になった住宅です。別の部屋に行くのに外を通らないといけないデメリットと、それを超える町家的な空間のメリットをストイックなコンクリートとガラスで表現した世界汎用に理解される住宅。自邸ではないので、この家を作った施主さんを評価すべきという家。この模型は本物のコンクリートでできてます。竣工時に作ったものだと思います。当時も何か展覧会で展示してあってかなり話題になりました。学生の頃、みんなで興奮して見てました。

前庭には、坂倉準三さんの量産化実験的な住宅のA字型棟持ち柱のテント(?)があります。

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三重大学建築展とテオ・ヤンセン展

ちょっと気になる展覧会だったので、三重県立美術館に行ってきました。

三重大学建築展(8月6日まで)

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卒業設計と修士設計が公開されていました。東京の大学生の作品に比べ、図面表現が弱い印象で、楽しそうな感じ、作ってみたいと思わせるところが弱いように感じました。

新しい建築へのチャレンジ的な作品より、計画地に対するリアルな取り組みが感じられる作品に魅かれます。(実務慣れしたせいでしょうか)

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修士設計のほうは、身近なテーマで現実感があります。この時期の2年間は貴重な時間ですね。

テオ・ヤンセン展(9月18日まで)

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立体的な作品で、しかも動くデモンストレーションもあって見に行く価値ありです。

ヤンセン氏の長い積み重ねの成果なので、完成度も高い。BMWのコマーシャルにも採用されています。

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作品自体が風の力を受け、ペットボトルに空気を貯めて、波の水を感知して動き出す仕組みは、その動きの様を含め、生物と感じるものがあります。そのほか生物の営みから発想した作品が動態展示されてます。

三重県立美術館35周年の企画展に相応しい。

 

三重木造塾 穴太衆

第3回木造塾です。今回は午前中に塾生同志の意見交換会

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18名の方が近況を簡単に発表されました。特に三重県産木材の利用のために熱心に活動されている方が多いように感じました。

午後は、石積技術で有名な滋賀の穴太衆(アノウシュウ)・栗田さんの講義です。興味深い講師なので、いつもより聴衆が多いようです。

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織田信長の頃から15代続く、穴太衆の由来や穴太衆の特徴である強固な野積みの解説などをお話しいただきました。

石が個々に動くことで力を分散すること、水も排出するためにも、コンクリートで固めないことが重要になるとのこと。実物実験で擁壁ブロックコンクリート固めの倍の耐力が実証されたこともあるそうです。

また熊本城の被災地に出向いた際の専門的立場からの見解をお話しくださいました。

以前のように石積が行われることがなくなり、存続が危ぶまれる職種ですが、海外で日本の石積の良さを広めるよう活動の幅を広げることをされているようです。

一生掛かっても、完璧な仕事はできないと、常に高みを目指す仕事ぶりはうらやましく思います。

GINZA SIX

 少し前に話題になったGINZA SIXに、設計協力した香水店Fuegia GSIX popup shopがオープンしました。アルゼンチン・パタゴニアの植物から発想したオーガニック フレグランスブランドです。

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1か月間の短期的な店舗なのですが、商品のイメージを損なわないよう上質な印象が必要なので、ほかの場所でも同様の短期店舗を可能とするものとして、少しコストを掛けた品質のよい家具で構成することとしました。日本ではまだ認知度が低いブランドなので、ブランドの特徴を伝えるべく、アルゼンチンの異国感・ちょっとワイルドで強い印象を、ブランドのイメージカラーで統一して表現することとしました。

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この10年ほどで銀座の中央通りのビルは一新されました。どのビルもファサードに気合いが入っています。多くの著名な建築家が手掛けていて、建築の勉強にもなります。

GINZA SIXも世界的に有名な谷口吉生さんの設計となっています。

 

 

本日、地鎮祭

年配のお二人のため家 。地鎮祭が慎ましく行われました。このところ高温で心配していましたが今日は曇りがちで、日和的には恵まれました。

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二人が暮らすために必要なものだけの構成で、1LDKですが、少しゆとりが感じれるように計画しています。新鮮な生活となるようにと提案したことの多くを受け入れていただいた責任重大な物件です。

祭事のあとのお話で施工の丁寧さにも期待しているとも、おっしゃられて益々責任重大です。期待を上回る良い家にしたいです。

阪田誠造さん納骨式

前職の坂倉建築研究所で当時所長を務められた阪田誠造さんの納骨式に参列しました。

一周忌にあたる7月15日に四谷の聖イグナチオ教会地下の納骨堂内に納められました。この建物は阪田さんが設計コンペを通して設計し、1999年に竣工しました。(私もコンペ時はドローイングの一部を手伝いました)

納骨式の神父様は、建設時の主要メンバーをされていた方で、建設前にドイツの様々な聖堂を見に行かれたことなど、阪田さんと新しい教会を作っていったご苦労をお話いただきました。

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竣工当時に比べると、ろうそくの煤など、使ったことによる汚れがついて、より教会らしい雰囲気がでてきたように思います。ヨーロッパでも近代以降の教会は、比較的質素な材料で、装飾的なものの少なく、そのような教会に近いものを感じました。

時間の経過が建物に重みや人々の愛着を作っていくのでしょう。

建設時、阪田さんはここに納骨されることは、お考えではなかったように思いますが(容易には納骨は許されないと聞いています)、

聖堂がこの先200年くらい経ったときに、設計者もここに眠っているというのは、建築家としてはうらやましい栄誉だと思います(聖堂としても値打ちが上がるかと)。

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