八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

日本の家 展

戦後の日本の家と生活を海外に紹介する展覧会 「日本の家」1945年以降の建築と暮らし が10月29日まで東京国立近代美術館で開催されています。

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ロンドンとローマで大好評だったという巡回展で日本ではここだけで開催らしいです。

清家清さんの斉藤助教授の家の実物大モックアップと数多くの模型、画像が展示されています。

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展示デザインはアトリエ・ワンさんで今風の東工大系の雰囲気でできてます。戦後の住宅の紹介ですが、ほとんどは70年以降のもので、私の設計の勉強をなぞっているような印象もありました。

75の住宅が、13のテーマに分類されています。建築は社会や思想の動向を反映して作られる要素が大いにあるので、キーワードで分類されているとちょっとわかりにくい感じがします(その分、新しい観点が見いだせるかもしれませんが)。

海外では都市の構成上、建築家が個人のための家を設計することは稀なので、日本特有の建築ということで、数多くのバリエーションがあることを示すことに主目的があったのではないかと思える内容でした。建築のつくる住宅がどれほど魅力的(いいことある)かを、一般の人にも理解してもらうような展示を期待していたのですが、ちょっと難しそうでした。一般の人には、変わった家をつくる人がたくさんいることは伝わりそうですが。

好みの家、気になった家は

建築家・丹下健三さんの自邸。木造の家ですが、鉄骨造のようなシャープさ、軽さがあります。モダンな中にも和の雰囲気もある有名な住宅です。あっさり壊してしまったので写真のみしか残っていません。

阿部勤さんの自邸。

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竣工からずいぶん経った今もメディアに取り上げられる家です。広くはないですが、密度感があってしっとりした良い雰囲気があります。阿部さんは事務所の先輩なので、何度かお会いしていますが、ご自身のセンスのよい生活感そのままの住宅だと思います。この模型では、居心地の良さは伝わりません。

石山修さんの自邸・世田谷村。

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私の自宅の近くにあり、外からは実物を見たことがあります。町中の材木屋さん(1階が材木置き場で高い2階に事務所)って感じの建物(私観です)。実際に1階は事務所・作業場で2階以上がご自宅。秘密基地みたいですごく楽しそうです。ご家族には不評と伺っています。

生物建築舎さんの天神山のアトリエ。

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今、若い建築家の方々で、内部、外部が入り組んでいるというか、建物の境界が弱いのが流行っているように思います。模型の表現だとそれがすごく開放的で心地よく感じるように映ります。実際に作るとなかなか難しいですが、うまく作っているなあと羨ましく思えるものもあります。

実際の建物はコンクリートの外壁が強い印象で際立ち模型のような自然観は減少してます。

藤本壮介さんのHouseNA。

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計画発表当時のこの模型を見て、こんな家建つのかと思っていましたが、実際に建っています。どのようにお住まいなのか、興味深々ですが、展示にはその様子はありませんでした。

好みとかではありませんが、安藤忠雄さんの住吉の長屋

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安藤さんが一躍有名になった住宅です。別の部屋に行くのに外を通らないといけないデメリットと、それを超える町家的な空間のメリットをストイックなコンクリートとガラスで表現した世界汎用に理解される住宅。自邸ではないので、この家を作った施主さんを評価すべきという家。この模型は本物のコンクリートでできてます。竣工時に作ったものだと思います。当時も何か展覧会で展示してあってかなり話題になりました。学生の頃、みんなで興奮して見てました。

前庭には、坂倉準三さんの量産化実験的な住宅のA字型棟持ち柱のテント(?)があります。

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