三重大学工学部大会議室で行われた第3回公開研究会に行ってきました。
この研究会は、南海トラフ大地震が起こったとき、三重県内の歴史的価値のある建物、町並みを維持するための勉強会です。
昨年度2回の研究会で、北関東の佐原市・桜川市(真壁)の歴史的町並みの震災復旧について講演、討論会がありました。今回は第3回で、宮城県文化財保護課の関口氏、東京文化財研究所の森井氏の講演です。参加者はおよそ80名、町並み保存の市民活動家、建築家、地方公共団体の関連職員、三重大生などの有志の集まりです。
講演の内容は東日本大震災後の文化財復旧に関わったことから見出した今後の課題についてでした。文化財指定のない建物の場合、修繕には費用補助はでないが、解体には補助が出て、補助期間が限られていることが、価値ある建物が解体さえることになる一因なったこと、応急危険判定の危険判定が一般の所有者には、もう住めない=解体ということにつながっているということなど、実際の経験からの意義深い講演でした。
今回の討論会では、文化財建造物の復旧のためには、建物自体の文化的価値だけではなく、建物を利用した日常的な市民活動など、多様な存在価値を持たせ、より多くの人たちが認識する有形・無形文化財両面での復旧意義をつくっていくことの重要性を共有しました。
これまでの北関東の被害報告、今回の宮城での状況から、現在の耐震基準に合致しない古い建物でも、きちんとメンテナンスが行われ、活用されている建物は倒壊を免れているれいが多いようです。身近にある古くて良い建物は、積極的に使っていただきたいと思います。