八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

福岡のリノベーション

店舗設計の相談を受けて、福岡に現地調査に行ってきました

周辺の様子をみるため、繁華街天神あたりを散策。繁華街天神のとなりの大名町に小学校をリノベーションした施設がありました。

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1階は起業したい人たちへの相談所とカフェとかになっていて、2階より上階は。企業の事務所になっています。古い建物の味わいをうまく生かした現・都会風のインテリアで、シェアオフィスのような使われ方もされています。

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より地元に近い人たちが小オフィスで活動を始めている感じで、東京よりも現実的、着実な印象を受けました。小学校の近隣は小さなお店が集まるところで、天神の駅にも近く利便性のよいところです。

地元の若い人たちが集まって、地域を盛り上がるには良いところだと思います。

全国の地方都市の繁華街近くにこのような活動の場があると良いと思いますが、名古屋の大須あたりでも、このような施設があるのでしょうか。

 

武者小路実篤記念館

20年以上のお付き合いとなる調布市立武者小路記念館さんに、小改装のご相談を受けて伺いました。

記念館の建物は1985年の竣工です。まだ図面は手書きのころで、設計者は細かなディテールを競っていた時代でした。既製品を使うことは少なく、ほとんどの部分がこの建物だけにつくられたものです。素材感を重視して手を加え、丁寧に空間を作っていく良いお手本の建物だと思います。小さい建物ですが若い設計士さんにぜひ訪れてもらいたいと思うものの一つです。

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単純な形ながら、実篤先生の大らかな印象につながるムクリのある屋根が特徴です。

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エントランス部はスチールのサッシュとコンクリート。打ち放しと小タタキ仕上げで表された実篤先生自筆の「日々是好日」が程よい意匠のエントランス壁面を作っています。

記念館のある場所は、水のあるところに住みたいと池のあったこの地を選ばれ、晩年の20年間を過ごされました。調布市の公園となっている敷地には、アトリエとしても使われた住宅が残っています。昭和36年築の木造住宅で基本和風のプロポーションですが、暗くなる北側斜面側の玄関にはトップライト、池を望む側には大きな開口に屋根付のテラスがあったりする現代的な要素もあるつくりです。土日は内に入れます。

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この旧邸については東日本震災前に耐震改修をさせていただきました。その甲斐あって大きな揺れにも、遜色なく無事に建っています。従来の開放感や実篤先生の活動の跡が残る土壁を残す工夫が報われた思いがあります

また晴れの地鎮祭

先週の地鎮祭も晴れの日差しがあたたかったですが、今週の地鎮祭も陽光のさす良い日柄となりました

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今回は設計協力もさせたいただいた結婚式場の増築工事です。既存施設の増築なので、工事中にいろいろご協力いただく従業員の方々も参加され、これから皆で建物を作っているという一体感を感じていただけるものとなりました。

式の途中から、差し込んできた暖かな日差しは、これからの始まる建物建設という大イベントの始まりに力をあたえてもらったように、そこにいた皆さんが感じたようでした。

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今回も立派な鯛のお供えものです。シェフがいらっしゃるので、美味しいまかないになるそうです。

 

伊賀市 20世紀遺産選定記念シンポジウム

伊賀上野城下町が日本イコモスにより20世紀遺産に選定されたのを記念してシンポジウムが伊賀市ハイトピア伊賀で行われました。

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イコモス(国際記念物遺跡会議・International Council on Monuments Sites)は1965年に設立された国際的な非政府組織で文化遺産保護・保存の諮問機関としてユネスコ世界遺産の判定に関わっています。

前半は日本イコモスの事務局長 矢野和之さんによる基調講演です。

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今回選定された日本の20世紀遺産 21選の紹介とその選定理由の説明でした。20世紀遺産選定基準は、世界遺産選定と同様に世界基準の評価となっているそうです。

20世紀遺産選定の要点は

・20世紀に始めて現れたもの

・19世紀からあり、20世紀に発展したもの

・歴史的事件に関わったもの

・伝統と20世紀に現れたもの対比、調和があるもの

という観点で歴史上に残すべきものを選定しています。一般的に近代建築の価値を意識しない傾向にあるので、歴史の中の欠落を心配した対策です。

原爆ドームや国立代々木体育館も選定されていますが、建物単体の選定でなく、京都南禅寺界隈や代官山の街並みなど、周辺地域も含む環境を保存しようとするものです。

伊賀上野城下町は上野城下町と坂倉準三の近代建築群との一体で選定されました。江戸時代の城・城下町の街並みとコンクリート造近代建築の調和した景観は世界唯一と矢野さんも説明されていました。

後半は、三重の町並み保存活動に多数関わっている三重大学の浅野教授がコーディネーターを務めるパネルディスカッションです。パネリストはドコモモの鰺坂徹さんと伊賀市内の旧家を活用している映画監督の塩崎祥平さんと明治時代からの地元書店の店主の岡森史枝さんです。

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鰺坂さんは、時代を超えて存続する建築は、時代時代の積み重ねでその価値を上げて行っていることをフィレンツェのドーモが各時代の増築を残しつつ、現在に至っていることなどを例に挙げたお話をされました。

映画監督の塩崎さんは、地方の魅力を抽出する映像作りの価値、地元発見の魅力を、ご自身の出身地を舞台とする映画づくりの経験を話されていました。

代々地元の岡森さんは、坂倉準三の学校に通われた思い出や自慢できる建物を日常的に見て育ってきた経験とご自身の取り扱っている書籍について伊賀の街について書かれた本が他の街のものに比べ著しく多く、伊賀に人たちの町への関心が高いことを感じているとのお話しでした。

今回の会場には満席の100名以上の来場数でした。単体の建築の保存のイベントでは、建築関係者が大半のイメージでしたが、今回の選定は城下町との一体だったので一般の人たちも多いようでした。街の歴史と関連付けた建物保存の運動の可能性を可能性を感じました。

 

 

 

晴れの地鎮祭

このところ寒い日が続いていましたが、今日の地鎮祭は暖かな日差しで絶好の地鎮祭日和でした。

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敷地の奥は土手もなにもなく川という、滅多にない魅力をもった土地です。

この計画の課題はおおよそ築10年となる既存住宅と一体として全体を感じさせることと、いわゆる古民家といえる既存家の良いところに負けないくらい快適で楽しい家を目指すことです。

河川にかかる法規制など、いつも以上の行政折衝にずいぶん時間が掛かかってしまいましたが、ようやく工事に着手できます。

三重短大 授業2

昨年12月に住宅設計の授業協力をさせていただいた三重短大に成果を見せてもらいいきました。課題は先週が締め切りでしたが1/3程度はまだ未完成とのことでした。

並べられてた模型は大半がフルカラー、素材感を示す材料でできあがっています。私の学生のころは、白い模型がほとんど(色つきだと労力が倍以上かかるので)だったので、結構な労力です。図面も若手建築家のプレゼ図面が細い線だけということが多いのに、昔ながらのきちんとしたダブルラインの図面です。これも練習ですから、書かざるは得ませんが、時間がかかります。

指導されている木下先生によると模型は、多くの学生さんはのめり込むほどでつくられいるとのこと。特に家具作りは楽しそうにやっているそうで、思い入れが見てとれます。

1年生なので、プランニングや図面表現は、未熟で書ききるのがやっとという感じで、個人の主張としてはまとまっていないのはやむをえないところでしょう。模型のほうはプランニングとかに関係なく、今風の柔らかい雰囲気が出ているのを感じました。いろんなところで材料をみつけ、ミニチュアハウスを飾っていくようなつくりで、小さな造花や柄の紙を建築模型に入れ込んでいくのは、今の若い建築家たちの感覚に通じているように思えました。ざっくりした建築の心地よさを感じるものです

蓄熱床暖房の家 竣工

蓄熱式の床暖房を採用した家が竣工しました

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高齢のご家族が家におられることが多いとのことで、常時暖房にメリットのある蓄熱式を選択しました。基礎を蓄熱体として利用するので家全体が高効率で暖房されます。もう引っ越しされて数日過ごされたのですが、これまでお住みの古い家から比べると断熱気密性能も向上し、暖房器具の風も感じず、家の中どこでも寒さを感じない室内環境にご満足いただけたようです。

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南側は大きな開口で家の中に居ても、外のように開放感のあるリビングとしました。

天井は高くても、床暖房なので温かく過ごせます。バリアフリーを目指して床下空間を最少に抑えています。今もところ必要はないですが、道路から車椅子にも対応したスロープで室内に入れます。

床暖房は日本ではまだ一般的でない方式を採用していますが、ほかの構成要素は、大手住宅資材メーカーの製品を使っています。お住まいになる方にあわせた部屋のつながりや細部の寸法配慮をして、必要最小限かつ便利で、空間としての雰囲気もよくなる家となるよう心掛けました。

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