5月20日に逝去された早稲田大学名誉教授 池原義郎先生を偲ぶ会が大隈記念講堂で行われました。
先生と身近で接しさせていただいたのは、わずか3年間でしたが、自らの作品に対する思いの説明や、当時先生を訪ねられていた多くの著名な建築家との会話、国内外の著名な建物に対して感じることのお話、学生の作品に対する厳しい評価などを通し、建築に関わる上で必要な感性と理念の根幹が作られたように感じています。
会の始まる前に、比較的最近に収録されたインタビュー映像が流されました。「建築はただ機能的に作り上げるだけではダメで、人間性がそこに加わらなければいけない」とお話されていたのは、最新の技術や素材にとても興味を持ちながら、細部の作りに熟慮して詩的と評価される作品をつくられていた基本スタンスなのでしょう。また作風はずいぶん異なると思える先生の師、今井謙次先生の大切にされたいたところです。
この数年で先生と親しい交流のあった同世代の建築家、高橋テイ一さん、宮本忠長さん、阪田誠造さんが逝かれました。直接お話を伺う機会があった方々で端正、厳格に作り上げていく建築の凄さを教えていただきました。この後の若い人たちには、そんな機会がなく、違った建築の世界になっていくのでしょう。