松阪市を散策
中心部松坂城下に古い町並み・民家が残っています。市の管理のもと、公開されている建物が何軒かあって、日本家屋の魅力が体感できました。観光地的ではなく、住民が良い環境を維持して住んでいる感じがあってよい印象です。
御城番屋敷
松坂城を警備する紀州藩士とその家族のための住居として建てられました。2棟の長屋です。コンパクトながら両側に庭があって心地よく住めそうな雰囲気です。
武家屋敷は門から少しずれる形で玄関があります。
耐震補強がされています。1住戸あたり3本の鉄骨柱(床下には大きな基礎)を建ててそれらと既存躯体を屋根裏でロッドでつないで水平耐力を保持しています。
原田二郎旧邸
31歳で横浜銀行の頭取を果たし、三和銀行の整理・再建に尽力した松阪の名士の住居です。武家屋敷を購入し、執務スペースとして書斎を増築しています。座敷からは道に向かった南の庭が見られます。イヌマキの生け垣が柔らかく道と隔てて、奥行きのある静かな庭のなっています。2階にある書斎には丸と四角の窓を設え、その外の柿の木越しに城を見る趣深いものです。
武家屋敷街は、多くの住戸が古い家を使い続けていて、イヌマキの垣根で統一された静かな町並みを維持しています。
松坂商人の館
小津グループの紙業営んでいた旧商家。
1100m2の敷地に主家、内蔵、前蔵、井戸屋形などが残っています。影が多く、囲まれ感のある庭とそれと一体になった開放的な部屋が日本家屋の夏を涼しく過ごす特徴の魅力をよく伝えています。
1970年代、囲われた中に庭。テラス、室内を配して快適な都市住宅を提案した坂倉建築研究所が設計したコートハウスも、古い日本建築を実測研究した西澤さんの成果によるように思えます。
18世紀初頭 江戸に栄えた商人の多くは伊勢商人、中でも松阪出身は多く、この小津のほか三井、長谷川、長井、殿村などの豪商が大阪、江戸に出店したそうです。
三井家は発祥の地が保存、長谷川家も公開されています。
散策のあとは、みえ木造塾の勉強会。今回は環境計画の宿谷昌則教授(東京都市大学)の講義です。
住環境の熱についての講義で、室内を作る壁床天井の表面温度をコントロールすることで、人の体内エネルギーの負担を減らすことができることなどをご教示しただきました。快適な省エネ住空間を作るには、断熱性を高めることと蓄熱利用によるということを示唆されています。