コンクリートの外壁は、素材感のある質感、シンプルな表情で多くの建築家に好まれた意匠です。1980年代に特に多かったように思えます。
30年以上経って、汚れや劣化の対応が求められるようになっています。竣工当時の状態に戻すのはできないので、何かしらの補修で対応しています。広島の平和記念館は耐震改修をかねてかなり大掛かりの補修をして、きれいになってました。
自らに関わりある物件を確認してみました。
○吉村順三設計の住宅(1973年竣工)
多くの住宅は白い塗装となっています。元もと塗装だったものもあるのだと思います。
○芦屋市市民センター・ルナホール(坂倉建築研究所 1970年竣工)
有名な模擬コンクリート補修工法で改装してます。95年の関西震災の際、一部損傷しましたが、元のように復旧されました。かなりの費用をかけて修復されているのは、市民から愛されている表れでしょうか。
○名栗げんきプラザ(坂倉建築研究所 1985年竣工)
全面塗装となっています。コンクリートの劣化は少ないようでキレイな印象です。
山深い立地の施設で、空気がきれいなのでコンクリートにも良い環境なのでしょうか。
元のコンクリートは、当時坂倉事務所でよく使われた黒っぽい印象のコンクリート色だったのですが、現状の塗装はそのイメージを引き継いでいるように見えます。
○武者小路実篤記念館(1985年竣工・90年増築)
汚れや細いクラックが出てきているので、補修が計画されてます。85年の部分の北面外壁は、現在もしっとりした感じが残っており何もしなくてもよいくらいです。ここも黒っぽいコンクリート色です。増築部分はコンクリート表面を加工して、表情に変化を付けています。この表情の維持は難しいです。
北面の状況。コンクリートにやさしい環境。