武者小路実篤記念館のメンテナンス必要事項の確認に伺いました。
本館は30年以上、増築したほうも25年以上経っています。
屋根や外壁の補修が計画されています。建物は素材感を重視した意匠となっているので、その風合いを維持していく補修は難しいところがあります。
外壁はコンクリートの仕上げを変えて、意匠を作っているので、単純な塗装による保護ではうまくいかないように思えます。
平滑な打放しコンクリートとコタタキ仕上の組み合わせをうまく残していきたいところです。透明かつ光沢や濡れ色などの出ない保護補修材があると良いのですが。近年は手間のかかる仕上げが少なくなったので是非残したいところです。当時は材料自体の特質を表情として活かすことを手間を惜しまず作っていました。実際の施工は本当に根気のいる手作業で特殊技能の職人さんにやってもらった感じだったそうです。
本館の北面は深い庇と緑豊かな斜面に守られ、日射も風当りもなく、適度な湿気の好条件で30年以上経っても劣化してない部分です。
金属屋根の勾配のあるところは、劣化は少なく保証期間を大幅に過ぎても想定通りの耐久性を保っているようです。勾配の少ないところは水や日射の影響を受けて傷みが見られます。
金属色のムクリのある屋根の本館と新館の構成も大事にしたいところです。