八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

前沢の曲がり家集落

会津の前沢、曲家集落は亀山の関と同様に重要伝統的建造群物保存地区となっています。この集落は街道沿いに民家が並ぶ形態ではなく、主要道から引き込んだところに集落があります。集落に入るには結構深い谷を跨ぐ橋を渡って入ります。外来者は橋の手前の駐車場に車を置いて、入村料(見学料)を払って村に入ることになっています。

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保存地区の面積は13.3ha.13棟の曲家(中門造り)と7棟の直家の集落です。

街道状ではないのと、道路が比較的広く、アスファルト舗装されているので、古集落の印象は薄いですが、民家の外観は伝統的なものとなっています。ほとんどの家は内部は改装して一般的な住宅に近いようになっているそうです。

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資料館として、移築された曲家が当時のままの暮らしを示す形で公開されています。

馬はいません。

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板の間部分が現在のLDKで畳のところは客間や仏間です。冬場はカイコを飼育する場として使われたそうです。建物の中心にカイコで人より優遇さえているようです。

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中央は客間。冬はカイコ用、吹き抜けでいい部屋ですf:id:hatt88:20201031155425j:plain

一番奥の部屋は後とりさんが使う唯一の個室(4畳ないくらい)だそうです。この上はツシになっています。2.1mもないような階高と薄い床でコンパクトに部屋が積み重なっていて効率良い感じです。天井が低い個室もちょっと楽しそうに思えます。急な箱階段で半畳ほどのスペースでツシに上がれるのも効率的な印象を増しています。

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全窓、雨戸がついていますが、現代の住宅のように引き込んでいくタイプではなく引違いの木戸になっていて、開けたほうに障子を入れる形で木戸2枚と障子1枚で通風・明かりとりを行っています。普通の半分しか光は入りません。雨戸を引き込んでいくタイプに比べかなり節約、簡便な開口です。

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ダイニングキッチン

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土間の三和土(タタキ)は、他の古民家でも大半は凸凹の床面になっています。掃除をしていると弱いところがどんどん取れていってこうなってしまうそうです。

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