八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

みえ木造塾(第6回)

第6回のみえ木造塾。今回は実寸実験のため、三重県林業研究所にて開催です。

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三重の木を宣伝する木製ジャングルジムも持ってきて組立実演しています。

前半は構造設計士の山辺豊彦氏の講演、後半は木継手の破断実験です。

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講演のテーマは木造耐震補強のツボとコツ。山辺氏は東京都の耐震診断士育成にも協力されているそうで、木造住宅の耐震診断、補強について実地で役立つ有効な注意点をご教示いただきました。

後半の実寸実験は、金物を使わない伝統的な継手の引っ張り強度の測定です。

試験体は通し柱部の梁継手仕口・長ほぞ込み栓、同・シャチ栓引き、かま継継ぎ、追っ掛け大栓継ぎの4種です。

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どの継手も必要とされる引張強度はクリア(当然ですが)。プレカット(機械加工)でも一般的なかま継で3.6t以上、追っ掛け大栓継では8t以上の引張強度がありました。

引張は木材自体のせん断耐力によるので、力の掛かる面の大きさが強度の決め手になります。金物による継手との違いは、加工技術により強度が違うところにあります。継ぐ木の接面が綺麗に大きく接している、また面がずれないような仕口形状をきちんと作ると木の持っている強さを最大限いかして大きな強度が得られます。金物場合は個人の技量に関わらず、強度がでるが金物を使わない工法は大工さんの技量によって措定以上の強度がでるということが実感できました。

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かま継継ぎ

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追っ掛け大栓継ぎ

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力の掛かった木の表面は、硬い木目部とシラタ部でめり込み量の違いが出て、ぎざぎざになっています(実験前はのこぎりで切ったきれいな平面でした、上に載っている木片が引張載荷により破断した部分)。木破断面を初めて見られた貴重な体験です。

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