八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

建築家 三分一博志さん講演会

JIA三重支部の建築文化講演会2015で三分一博志さんの講演会が催されました。

世界的にも注目されている建築家の講演が聞けるということで。三重大学をはじめとする学生さんたちが多く来場して、これまでにない盛況さでした。

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チラシの写真は、六甲にある展望台です。網目状になった囲いに樹氷をつけるように計画し、樹氷と瀬戸内の街が一緒にみられるものです。このほかにも水の特性を表現した計になっています。

三分一さんの特徴は、太陽・空気・水・土・木といった自然の要素を建物構成の要素として利用するところです。大雑把にいうとエコ建築なのですが、ハウスメーカーとかでいう省エネ住宅地は異なります。建物の立つ場所の微気候を調査し、その地の太陽の経路、風の向き強さに合わせ、太陽熱を集めたり、風の流れを強める独自の形態を作りだして建物としています。水を気化して冷やしたり、地中の安定した熱の利用。外部の風の流れを利用した室内空調など、物理の実験のようなことの積み重ねで、空調機を必要としない快適な環境(空間)づくりを目指しています(普通の建築家の手法とは全く異なります)。

そのため、住宅でも2年間あるいはそれ以上の設計期間を要しているとのことです。それだけ時間をかけなければ、三分一さんの建築はできないように思えます。なたその時間の中でクライアントと一緒に作っていく関係を作らないと実現できないでしょう。三分一さんのお話からも、クライアントとの親密な関係がうかがわれました。建築家だけの考えでは、本当に良いものはできないので、羨ましい仕事ぶりです。

また三分一さんは広島に事務所を構えて、地元にこだわって設計活動を行っています。

同じ地方での活動になる三重県の建築家、学生にとって三分一さんは、手本となる存在です。講演の最後に、「地方には、そこにしかないものがあって、新しい価値を作るには地方でないとできない。地方にいるデメリットは全く感じない。」と力強くおっしゃたことに、会場の多くが勇気づけられたようでした。

地方において、土地の特性・人々の生活を把握する建築家の職能は、新しい価値を見出し、広め利用していくことに重要な役割を担っている思います。

 

 

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