八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

三重短大 授業協力1日目

今年も日本建築家協会の社会貢献事業のひとつとして、三重短大の設計授業の補助協力を行います。

11月23日が課題を出す第一回の授業。今回で4年目となりますが、担当教授の木下先生と相談して課題の出し方について、毎回修正を試みています。昨年の最終成果好評の際感じた無難な作品傾向を打破し、学生個々の気持ちがより、作品に感じられるように課題の要求条件を緩くしてみました。条件に自由度が増えたので、余計に設計が進まない学生が出ることも心配しています。

そんなこともあり、初回授業で、課題の趣旨を直接説明する機会をいただきました。また、設計の作業がどのくらい時間が掛かるかを感じてもらえるよう、自分の設計した建物での作業を紹介して、作業することへの意欲を高めてもらおうと小講義もさせていただきました。

学生さんたちのテンションの盛り上がり感は、今一つでしたが、設計には時間が掛かることを少しでも感じでもらえてれば少しはよかったかと思います。

神戸にオープン

天一神戸。11月1日JR三ノ宮駅直結のミント神戸8階にオープンしました。今回も設計および工事監理の作業です。

店舗は1面が全面ガラスの開口です。明るい清廉さが天一さんのイメージなので、伝統的な数寄屋風の内装ではなく、モダン和風のすっきりした印象としています。

カジュアルな雰囲気の店舗感なので、使う建材は、特別なものは少なく、一般によく使うものに端部の意匠などに工夫し、ちょっと手間をつかった丁寧さを出し、空間の質を上げることとしました。

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共用通路からの店舗ファサード:少し透けるスクリーンが検討のポイント。左側の窓には真鍮のエキスパンドメタルを挟み込んで、金色の半透過性を持たせました。こちらは店舗名とは異なり暗めのイメージ。

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明るい客席ゾーン

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客席ゾーンの奥にある大きなカウンター。半透過のスクリーンで広がり感を保持しています。

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個室的な小カウンターもあります。こちらは少し濃厚な雰囲気に。以前からお持ちのアートワークを数点入れることで、より密度感がでました。

羽島市庁舎 勉強会

ドコモモ主催の旧羽島市庁舎 勉強会に参加してきました。

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羽島市長は私の前職の設計事務所にて設計した建物で、在職中の所長であった阪田所長が現場常駐されて、いろいろなお話を聞いているので、特に関心の高い建物です。これまでも2度見学に行っています。

平日の夜の勉強会という少し特殊な時間帯での開催で、普通は設計関係の仕事をして方や学生さんが多く来られるのに対してこの勉強会は、地元の方、年齢層もかなり高めの方が大半でした。この建物に対して永く親しんできた方々がこの先を心配されて来れてている印象でした。新庁舎建設も旧庁舎が残ることを考えてつくられたようです。

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既に新庁舎は竣工していて、旧庁舎に向かい合うように建っています。

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ドコモモの鰺坂先生・大宮司理事や岐阜高専の清水先生ら4名が、設計者 坂倉準三の功績と旧庁舎の価値についてと新庁舎建設にいたるお話をされました。

他の建物での保存活用を進める活動で、いつも説明されるのが近代建築の魅力についてです。古いお寺やモニメンタルな建物とちがって、普段から接してきた身近な存在の建物のため、その特別感・価値に気が付きにくいのです。毎回苦労されています。

今回も若い方から、この建物のチャーミングなところを教えてくださいという質問を受けて、容易には答えられないということがありました。近代建築が魅力は写真で伝わる部分は少なく、体験して感じるもののように思います。インターネットで遠隔地の情報が容易に入手できる感覚には、そぐわないものです。

来てもらって体感してほしいと思います。特に羽島市庁舎はスロープがあって(現状通行不可です)建物を立体的に体感できる稀な建物なので、実体験の楽しさは他よりあると思います。

 

小リニューアル

新宿伊勢丹の7階レストランフロアにある「天一新宿伊勢丹店」を小リニューアルが完了しました。

この店舗は25年ほど前にできた店で、これまでも天一さま社内で微改装をしてきています。今回は設備の更新に伴い、パントリー機能の改善と意匠的も新しい雰囲気を加えるということで改装提案の依頼をいただきました。

長年の使用で痛んでいる箇所の補修が中心の改装なので、現状維持の部分との調和を配慮したものとしました。

意匠的な改装ポイントは、カウンター席に特別感の演出です。これまでの内装はシックなグレーの濃淡で全体を統一していて、カウンター席もその一端でした。今回はカウンターの壁面を天一のコーポレイトカラーの朱赤とすることと、鏡を使うことで暗い印象の店舗に華やかな一面を付加することとしました。

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付加した朱赤の色。扉も色合わせしてます。手摺などスチールの部分の色も少し強い印象に塗り替えシャープさを出してます。左奥の方は既存のままの内装色。

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カウンター正面のタレ壁部分を鏡貼りとして、影となる要素の存在感を無くしました。

今は仮囲いで暗くなっていますが、正面には中庭の緑が見れます。

ちょっと特徴のある椅子は、最初のデザイナーさんが作ったオリジナルの椅子。

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今回製作のパントリー部分の什器。

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既存テーブル席の朱赤のテーブルとつながるカウンター壁の赤の要素。

写真はオープン前の工事完了時で、明るさと華やかさに欠けてます。10月23日リニューアルオープンです。営業中の店舗にお立ち寄りください。

8月の長雨

今日は桑名市内の住宅の建て方(上棟日)の予定したが、雨予想のため延期に。

日柄を尊重して、1本の柱だけを建てて、施主さま、大工さんと共にエアー上棟。

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建物廻りにあたる足場だけが建っている状態があちこちにあるようです。

このところ雨続き。それも晴れあがったり、急に土砂降りの雨になったりで、晴れているのに作業はできないと不満の溜まる天候です。今日も中止決定したのに、一時雨がぱらついただけでお昼に。午後激しく降ってきたので、ちょっと満足という不純な心もちです。

実篤記念館 アドバイザー訪問

武者小路実篤記念館のメンテナンス必要事項の確認に伺いました。

本館は30年以上、増築したほうも25年以上経っています。

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屋根や外壁の補修が計画されています。建物は素材感を重視した意匠となっているので、その風合いを維持していく補修は難しいところがあります。

外壁はコンクリートの仕上げを変えて、意匠を作っているので、単純な塗装による保護ではうまくいかないように思えます。

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平滑な打放しコンクリートとコタタキ仕上の組み合わせをうまく残していきたいところです。透明かつ光沢や濡れ色などの出ない保護補修材があると良いのですが。近年は手間のかかる仕上げが少なくなったので是非残したいところです。当時は材料自体の特質を表情として活かすことを手間を惜しまず作っていました。実際の施工は本当に根気のいる手作業で特殊技能の職人さんにやってもらった感じだったそうです。

本館の北面は深い庇と緑豊かな斜面に守られ、日射も風当りもなく、適度な湿気の好条件で30年以上経っても劣化してない部分です。

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金属屋根の勾配のあるところは、劣化は少なく保証期間を大幅に過ぎても想定通りの耐久性を保っているようです。勾配の少ないところは水や日射の影響を受けて傷みが見られます。

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金属色のムクリのある屋根の本館と新館の構成も大事にしたいところです。

大阪再訪

神戸での新規物件の現地確認に行った帰りに、昨年末に竣工した天一大阪に寄ってきました。

工事完了直後のオープンだったので、工事竣工写真もなかったので、手持ちで写真を撮って来ました。大阪駅の人通りは以前と変わらないほどになっていますが、レストラン街はノンアルコール・20時閉店でほとんど人がいません。

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窓の外に見えているのがJR大阪駅桜橋口ロータリー。

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天井高さ5mの1ルーム構成ですが、パーティション個室があります。やはり個室的なところの需要が高いようです。

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