八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

武者小路実篤とピカソ

調布市武者小路実篤記念館の展示ケース修繕の現場立ち合いに行ってきました。

記念館創設の35年前から使い続けているガラスケースです。

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当時はガラスを金属に接着する技術が普及していなかったので、最小限の金具でガラスを留めています。この記念館だけのために設計されたケースでとてもシンプルなパーツで作られています。現場作業の丁寧さを頼りとした構成でパーツ取付の調整機構はついていません。その分スッキリした見た目です。今日の作業も作業者の微妙な調整が肝心な作業となりました。

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現在、記念館では「実篤、欧米へ行く」という企画展示を行っています。1936年に実篤先生がベルリンオリンピック観戦を兼ねてヨーロッパ・アメリカを訪れた記録の展示です。一生に1回の欧州旅行、船で7か月を掛けた世界一周する旅だったようです。当時の旅行の様子を知ることができます。

なかで一番の発見は、実篤先生はパリでピカソと会っており、エッチングの作品をピカソ本人からいただいていたことです。20号くらいの作品でピカソの自筆で「Mushanokoji...」と贈呈のサインが書かれている本物が見られます。ゲルニカの少し前の作品でゲルニカにあるモチーフが描かれています。当時の日本人作家がピカソから直に作品をもらっていたという資料として大変貴重なものとされているそうです。

8月末までの企画展です。機会があればぜひ。

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