八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

純粋な建築

工場、事務所の改装・改修の仕事をさせていただいているクライアントから、津波対策のために電気設備の持ち上げ架台の建設の依頼がありました。

設備架台なので、壁はなく柱とメンテ用の床のみで、建築物とはいえないと思っていましたが、屋上のメンテ床の下が屋根のある床=建築床面積が発生するとの見解で、地上2階建ての鉄骨造の建物となりました。建築物かそうでないかで、作るものとしては変わりありませんが、確認申請の書類がかなりの量、必要になりました。

書類的に普通とは違うところがあって、興味深い発見がありました。

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一番上にも電気設備が載るので、図面を描いている感じは3階建てのイメージでしたが

床面積が出てくるのは2階の部分にのみ、1階は車が通行するのみのピロティーという用途で建築基準法の面積は発生しません。メンテンスに梯子だけでは不便ということで、階段をつけることを当初から計画していましたが、面積が発生する2階には法的に階段が必要となります。さすがに法で決められている一般的幅員や勾配の規定は適応されないことが今回わかりました。

通常の建物では、隠される躯体と見せる要素の仕上材の2つの要素で作るのですが、この建築はほぼ躯体のみ、全ての見える隠すところ、装飾ない建築です。建築家的にはうそのない純粋な建築といえます。

機能重視・経済性重視で求められる寸法取りで、無駄な要素も付けられませんが、必要最小限の要素の各所寸法を調整して、見た目スッキリになるよう努めました。

質実剛健な印象にできたかと。整理された要素は、この後の設備設置・配管取り回しにもメリットが出てきます。

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