八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

世代を表す2つの建物

群馬県にある2つの建物を見てきました。群馬県立館林美術館と太田市美術館・図書館です。

群馬県立館林美術館は、設計は高橋 靗一さん、2000年竣工です。芸術性・完成度の高い建築を対象とした村野藤吾賞も受賞しています。特徴のない平坦な水耕地の中につくられた施設ですが、建築の力で日本とは思えないような風景作っています。

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完成した美しい建築のフォルムを人々に印象づけます。何もかもがきちんとしています。

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高橋さんの建物は緻密で厳しい完成度への思いが感じられます。他にも何作か見ていますがその中でもこの建物は、最も高橋さんの頑固さが伝わり、いいものをつくるにはこのくらい妥協をなくつくらないとダメといわれているような圧力を感じます。

高橋さんと同世代の林昌二さん、宮本忠長さん、阪田誠造さん、池原義郎先生といった方々は厳しい建築を教えていただいた大先生たちです。

太田市美術館・図書館は、設計は平田晃久さん、2017年竣工です。地表から屋上に、らせん状に連なる動線にカフェ・図書館・美術館が絡まっているという建物です。

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外観も、動線がそのまま見える、ぐにゃぐにゃで建物然としてません。内部の仕上げも、塗装のみで鉄材形状がそのまま見えるものです。動線をつくる床の隙間から次の動線(空間)が垣間見えて、思いがけないシーンが現れる面白い体験ができます。

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↑美術館の入り口の柵

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本当に本好きの方には受けないかもしれませんが楽しく、気持ちよい感があります

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↑屋上テラスに至る

設計者的には皆が面白く感じる空間を極めていく努力をしているはずですが、館林美術館と比べると行き当たりばったり感があります。平田さんたち40歳台より若い人たちの従来の建物らしい建物を作らないスタイルにも、大いに魅力を感じます。

 

 

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