下北沢の住宅地内にできた住宅を見せていただきました。設計は井上洋介さんです。井上さんとは前職の同僚でこれまでも数軒見せてもらっています。
コンクリートと鉄、木の素材感を十分に活かしたとても魅力的な家でした。それぞれの材料がラフで力強く使われて、ちょっとワイルドな雰囲気の井上さんが反映されたものです。
コンクリートはこのところ井上さんが取り入れていた型枠からコンクリートを漏れ出させてテクスチャーを強める表現です。トップライトから落ちる日光によってできる影が壁面を飾ります 。
コンクリートの壁、鉄骨の大梁、木の小梁へ強い印象の構成物が徐々に和らげられて、くつろぐスペースにに対応しているように思えます。
吹抜をリビング使うことが多いのですが、この家はリビングには吹抜は無く、庭の空への抜けと階段部の上下の抜け感を両側に持つことで閉塞感をなくしています。
素材表現が特殊で設計者の好みが強くなりそうな建物ですが、そんな個性を押し付ける印象はなく、自然と出来上がったような気持ちよさのあるものでした。
荒々しいコンクリートの吹抜は、台湾の古い街にあった雨が漏っていても平気なラフな感じがうらやましいと感じた古いお茶屋さんと似ているところがありました。
↑台湾九フンの斜面に直接建てられていたお茶屋さん。木製の階段向こうは斜面そのもの石壁、上はトップライトで雨が漏ってましたがその下には金魚の泳ぐ池が作ってあり、したたかなフォローがありました