社員慰安旅行で沖縄に。沖縄の伝統的住宅の特徴を備えた中村家住宅(北中城村)。
昭和31年に琉球政府から、昭和47年に国の重要文化財に指定されています。この地域の庄屋を務める家ですが、本土の豪商・豪農の家に比べるとこじんまりした感じです。規模は小さいですが、造りはキチンしていますし、防風のための石垣、石貼りの庭は本土とは違って、費用の掛かっている要素です。
沖縄住戸の代表的な特徴のヒンプン。ヒンプンに向かって右が男子・客動線、左が台所に繫る女子の動線だそうです。
屋根は赤瓦、漆喰固めです。土を厚く載せたような屋根なので断熱性は高そうです。重さもかなりとなるため、軒先や縁側の柱間は1間となっています。本土の一般的な建物からすると柱が気になりそうですが、天井が低いこともあってあまり気にならないです。
垂木の間に面戸はなく、風が通りやすくなっています。漆喰で固められた屋根の母屋部分にも空気抜きが作られています。
石貼りの庭は、大雨の水処理のためでしょうか?ミニマムな感じの石の庭、ストイックな感じもありますが、周囲にある緑で殺風景な印象はありません。
井戸周りには植栽もあります。
部屋の外が塀に囲まれた感じは、インドネシアのバリなどにみられる住宅形式に似ています。風通し確保とプライバシー保護に有効です。
防風木であるフクギ。黄緑色・厚めで丸い葉型、密度感のある樹形は、ちょっとかわいい感じです。
名護市庁舎(1981年竣工。象設計集団)
象設計集団の代表作。見た目は昔風(ある意味、アート的な)建物ですが自然の風を取り込む設備計画、構造をがんばったりした当時の最先端建物といえます。
高い階高。ダブルグリットの詰まったスパンのランマ部分の穴が建物を貫く風洞。
室内の高い天井に通る風洞(コンクリートダクト)。写真で黒く見える四角い穴から風が入る。
15mほどのスパンのスロープ。受け梁はなく、手摺壁を梁とする片持ちスラブでできてます(他ではなかなか見られません)。
たぶん現場打ちのプレキャスト・コンクリートルーバー。
早稲田大学吉阪先生の弟子たちを中心とした設計チームですが、コルビジェ的な意匠・形態は見られず、地域性を特化反映するスタンスが一番の特徴です。
本土のほかの作品も、経年で緑が覆い、魅力的な環境を作っています。時間を経たものが新しいものに勝る好例です。