八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

七宝展

東京庭園美術館で七宝の展覧会みてきました

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昨年、住宅をつくった稲沢市の手前、あま市が日本の主産地と知って、七宝に興味深々となりました。

展示されているのは明治・京都の並河靖之さんの作品でしたが、展示の説明の中であま市からの影響についても触れられていました。

展示の七宝の凄さは、その緻密さです。細かすぎて普通には見えないほどで、拡大スコープが貸し出されていました。それなしでは鑑賞できません。

下絵でさえ、見えないのに、釉薬の仕切りの板を据え付け、その小さな隙間に釉薬を正しく入れる技術は、とんでもない集中力と根気が必要に思えます。

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一つ花びらが2mm以下の大きさです。背景の黒もとっても深い。黒だけでなく紺なども入っているそうです。

 

七宝は一人の芸術作業というより、多くの職人が関わる工芸品。ある意味、工業製品で並河さんはかなり財を得たようでした。主に買い手は外国人で、英国王室も顧客リストにありました。国内需要を伸ばすことはできず、外国からの受注が少なくなるとともに衰退していったようでした。

日本人の作る自然物の表現は、柔らかく繊細で、日本独特の魅力が感じられ、世界中の富裕層へアピールできる現代は、当時以上に有望な産業になるのではと思えます。

陶器に比べ、薄い素材に模様を描く七宝は、たばこや香水、名刺などの様々な実用に供するケースに使え、販路が広いように思えます。

明治七宝の見所、現在の七宝の製作法の上映もあり、七宝をよく理解できる展覧会でした。

また庭園美術館で七宝の展示は空間とマッチしているイメージですが、七宝の細密さに引き込まれ空間は忘れるほどでした。

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