愛知県豊田市の昭和の森の中の展示・集会施設。設計は先日行った「みんなのハワイアン」と同じ瀧光夫さん、得意分野の植物関連施設で1975年竣工、当時BCB賞(建設業連合会)、2004年には建築家協会の25年賞を受賞した正統な建物です。
建物は自然の丘に埋め込まれた下部とその上に浮かんだ四角形のリングの構成。下部2層は土を削り出したような小叩き仕上げのコンクリート造で周りの地盤に各層で接しています。
上部のリングは鉄骨造で全面ガラスでコントラストが明確です。リングで囲まれた空間は屋内化された植物園となっていて(雨風の当たらないところで育てるのは結構難しいと思いますが)内部外部の植物が視覚的に混在して、建物も内外が一体化していて、ほかでは体験できない空間です。
ガラス屋根の内部空間。アメリカの建築家ケビンローチのフォード財団ビルやディアカンパニーのような植物が身近にある建築空間に似ています。
ラウンジや管理事務室のあるリングの全面ガラスもミラーガラスが使われているのも、ちょっとアメリカ的。
植物を建物のいたるところに配置しています。建物防水上は問題が起きやすいところですが、思う存分やってます。管理運営している人たちの理解がないと難しと思います。
雨水だけでなく、汚水排水も土中にあるため、植物の根との攻防はかなりあるようです。
動線の設えも、クランクする経路や石積みとコンクリート壁の使い分けなど当時の建築家らしく、きちんとしています。
いろんなレベルで外の地面に接していて迷路な感じもあって楽しい空間体験でした。
紅葉の映えるころで訪れるには良い時期の祝日でしたが、街の主企業の工場が稼働しているので、平日のように来園者は少ないようでした。
建物の隣には友好関係にあるオーストラリア庭園が造られています。オーストラリア産の植物は、変わった花や実、葉の色もアジアの濃い緑とは違った色合いで見た目にも興味深く、乾燥にも強いので適当に育てるには都合よさそうなので、最近注目しています。