坂倉準三建築研究所設計の乙卯研究所(いつうけんきゅうじょ)1966竣工の見学会に行ってきました。(担当 吉村健治・宮崎慶二・栄久庵尚美)
今、人気急上昇の二子玉川にあります。以前から変な建物だと気になっていたのですが、準三さんの設計と知り驚きです。今回取壊しが決定となり、現持ち主から研究所に最後の見学可能との連絡があり催された会です。乙卯研究所は坂倉事務所の主たるクライアントである塩野義製薬の創生の関わる研究所だそうです。
施設の性格上、道路から見える外観は特異な感じです(あまりに素っ気ないので興味がひかれます)。この庇の形状は準三さん自らスケッチされたそうです。
外壁の木型枠打放しコンクリートから塗装に、階段室のサッシュは当初のスチール製からアルミに変わっていて、元のコルビジェ風の印象と大きく変わっています。
内部は使っていた当時のままとなっています。黒板には理解不能な記号が書かれてます。
案内役としてお越しいただいていた当時の担当宮崎さんから竣工写真をみせていただきました。
敷地内には住居として使われた木造平屋の建物があります。屋根のヤマト葺きは準三さんが好んで使われたそうです。法隆寺の塔と同じとか。
趣深い昔の建物が、今の要求性能に対応できず、壊されていくのはやむを得ないところですが、建替えに伴い、元あったものに代わる建築的価値を生み出した事例が少ないように思え、今ある古き良き建物を残しておきたいと感じます。