以前から気になっていた茅葺の里荻ノ島環状集落に行きました。大地の芸術祭の松代からさらに北の山間に入ったところ(新潟県柏崎市)にあります。周囲を山に囲われた土地に中央に水田を置いてその外側に水路、作業場、住宅が囲み環状に集落ができています。外敵から水田を守りつつ、貴重な水を全戸に効率的に配る仕組みです。家の前にはオープンスペースができて、農作業や生活に必要な日照も確保されてます。
集落中央の道、逆光で分かりにくいですが水田を囲む形で茅葺家がある。平成12年には40戸、最盛期の昭和13年には101戸あったようです。
一番左が隈さんの物件、右の2件は宿泊施設。
この集落を知るきっかけは、10年ほど前に隈研吾さんが茅葺住宅の再生を行って話題となったからです。今もその住宅は残っていますが、使われていないようでかなり傷んでします。その隣には、宿泊施設として1軒貸している茅葺家が2棟あって、そちらはきれいな状態を保っています。
行ったときには集落を撮影しているプロの1団がいましたが、大地の芸術祭の期間中でも訪れる人はわずかなのようで観光地的な活用は期待薄です。住む人たちが集落を地道に維持していくことしかないと思われます。
隈さんの茅葺家は集会施設として作ったため、人の集まる機会が少ないこの地では利用されなくなってしまったように思いました。部屋のすぐ前まで水田や湿地が入り込んだ配置やこの地の産業である和紙を内装に取り入れて建物としては面白いものであったと思いますが、残念です。
手前が隈さんの。真ん中の家は東京からと思われる子供連れの若い夫婦が宿泊利用。
屋根が落ちないよう支保工があります。
フルオープンにありそうな和紙張りの外部建具。
内部は和紙のパーティションがある1室空間。小屋組みは本来の茅葺家とは異なっているようで、少し趣に欠けます。
環状集落とは関係ありませんが、この地区の消防倉庫は、貯水池の上の張り出していてちょっと変な魅力のあるつくりでした。ポンプの配管があるようでもなく、不思議?
この地域でよく見かけるスノーシェッド。結構魅かれます。
同じユニットが滑らかに連続するのが綺麗です。
プレキャストコンクリート製がもっともきれいと思います。
鉄製は自然との調和に欠けます。ボルトやプレートが痛々しい。