八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

調布市武者小路実篤記念館

展示ケースの破損補修工事の監督のため、実篤記念館に行ってきました。


調布市武者小路実篤記念館

主な展示室の本館は1985年、閲覧・休憩スペースと収蔵庫・学芸員諸室からなる新館が1994年の竣工です。設計は坂倉建築研究所で、15年ほど前から、建物維持管理の相談対応をしています。

建物は本館300m2+新館700m2程度の小さなものですが、当時の設計者の熱意が感じられる良い建物です。このころはサッシュなどの建築パーツをその都度、作図して1品製作していました。建物のイメージに合うものを1パーツから設計し全体の雰囲気をつくり上げています。

実篤先生の人気と武蔵野・世田谷付近の文学痕跡のつながりがあって、開館以来、多く文学ファンが訪れるところになっています。

バレンタイン頃には売り切れになる実篤チョコをはじめ、実篤挿絵の入った風呂敷や手提げ、文具など、実篤グッズもそろっています。

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隣接する実篤公園は、実篤先生が水の豊かなこの地を気に入られて、晩年住まわれたご自宅をご遺族が調布に寄贈されたものです。園内には国立崖線の雑木林に小さな池を望む形で実篤旧邸が残っています。昭和36年建設の木造住宅ですが、テラスや天窓などモダンな要素のある別荘のような家です。土日には内部に入ることができます。応接室とアトリエは存命中の姿のまま保存されていて、当時の製作活動が感じられます。

10年ほど前、この旧邸の耐震改修を担当しました。当時のまま保存すべき部屋には一切 手をつけない、また全体の開放的な雰囲気も壊さないようにと補強を入れる場所、方法に工夫をしています。押入れが使えなくなるようなことになりましたが何とか目標は達成し、震度5強だったの東日本大震災にも、まったく損傷はありませんでした。事前の耐震診断では、倒壊の可能性ありだったので、補強の効果があったと思われます。

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