前職、坂倉建築研究所でいっしょに働いていた井上洋介さん設計の住宅を見せていただきました。
今回の住宅は、建築的な構成がはっきり出ていて、井上さんの独特の雰囲気もよく出たものになっていました。
この建物は一般的でない構造形態になっています。外観でわかる3枚のコンクリート壁が完全に自立しています。その3枚の壁の上に木造の屋根が置かれています。普通は壁と屋根がつながっていて、門型の構成で地震に耐えますが、この建物は壁の上に留まってはいますが、構造的にはつながっていない状態です。そうすることで屋根直下の壁の一番上がすべて窓にすることが可能です(経済的ではないので、普通はできません)。
内、外装ともコンクリートと荒っぽい木の表情を活かしています。このワイルドな感じが井上さんの得意とするところです(井上さんのライフスタイル、風貌にも合致しています)。
キッチンもコンクリートです。男性的に見えるスタイルですが、結構奥様方でもこの力強いキッチンのファンが多いようです。
できたときから古びた印象ですが、それも大きな魅力になっています。
建築家の個性の現れた住宅で、好き嫌いはありますが、素材感を重視する作り方は、同じ坂倉建築研究所にいた者たちの共通点だと思います。