八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

みえの気候風土適応住宅 第2回勉強会

2回目となるみえの気候風土適応住宅勉強会。三重県建築士会・設計事務所協会・建築家協会の勉強会に所管行政庁も参考参加して行われました。

2020年に住宅にも省エネルギー規制をかける方針が出たことを対し、規制に対応しにくい伝統的工法の住宅や断熱気密に頼らない地域気候を生かした住宅の存続の枠組み作りを目指した勉強会です。急ぎ対応すべきと3団体を取りまとめた会ですが、昨年国土交通省の実施したの現況調査の結果を鑑み、2020年の規制は住宅への義務付けは先送りされる見通しとなってきました。現状の中規模以上の建物で省エネ対応率が91%なのに対し、小規模建物は60%程度しか達していないこと、小規模建物に関わる人材、設計・施工・審査機関とも、省エネ対応に熟達していないことから、早期の実施は市場に混乱を来たすという判断があるようです。規制自体の義務化は見送りでも、消費者に省エネ意識を持ってもらうよう、省エネ適合の合否を告知することは設計士に義務付けされそうです。

切迫感はなくなったものの、伝統的工法の継続や三重県の特徴となるような住居形態の研究は建築設計に関わる人たちにとっては、非常に意味深いテーマなので、引き続き勉強会は継続されることとなりました。政策から派生した事柄ですが、三重の特色が見出されることに期待大です

三重短大 授業

三重短大住居環境コースの住宅設計課題の指導協力。12月の図面エスキース指導から1ヶ月半の今回は、作品講評会です。

コンセプトシート・図面・パース・模型が成果品です。1年生2個目の設計課題なので2ヶ月間まじめに作業しても、成果物を揃えるのに手一杯な感じです。

そんな中でも憧れの豪邸といえるようなものや実現が難しそうでプロの設計士では発想できないような楽しい作品が数点ありました。学生さん自身の説明では、計画の魅力がうまく表現しきれていないこともあったりして、講師の方々が魅力をフォローし、設計の見所を解説しました。時にはその作品から、発展しそうなアイデアを言い合ったりして、学生さんたちに建築の自由さや楽しさを感じてもらえるような講評を心掛けました。

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建築文化講演会2019

毎年開催している日本建築家協会三重地域会主催の講演会。今年は小堀哲夫さんです。

 

小堀さんの出身は岐阜県の輪中地域だそうで、ご実家周辺の自然環境の豊かさを改めて評価して、設計に生かしているというお話からはじまりました。

最初に説明されたのはチラシの写真になっているろ過器メーカーの研究施設です。天竜川が至近に流れる敷地の微気候に着目して、空調を使わない期間を最大とする建築計画としています。これまで閉鎖的な研究者スペースを新たな発想を生み出すためのオープンでまさに風通しのよい空間を提案しています。写真で分かるように屋外のような大空間です。半屋外の環境が人の温度許容度をあげることも、想定されています。この場で働くようになって、周辺の自然雄豊かさに気付いた社員さんが多いというのも、光・風を感じたり、1日を通しての熱環境の変化を感じることもあってのことでしょう。

もう一つ竣工物件として繊維メーカーの研究施設もご紹介いただきました。こちらの施設も、斜陽産業として新たな発想が必要な場を創造することが求められた建物です。太陽の取り入れ方の工夫、豊富な地下水の利用など、ここでも自然環境を利用しています。また働く人たちが自らの場をともに作っていく手法を取り入れ、建物・空間への愛着を持たせ、仕事の効率も向上しているようです。

現在進行中の計画も、先の2件、同様に建築空間を先行したワークショップを通し、使用する人たちの要望を聞きながら、魅力ある建築にまとめていっています。

立地する環境と使用する人たちのニーズをきちんと捉ええて、それを建築の構成に当てはめていく真っ当な設計スタイルです。またその解決案にそった建築計画をキチンと実現していく構造・設備設計チームとの総合力が小堀さんの建築です。

ご紹介いただいた写真からは、日本の建物ではないような印象ですが、小堀さん的には日本の空間の再構築をイメージされているとのことです。実際の建物を是非見てみたいという気持ちはいっそう強くなりました。

 

毎年開催している日本建築家協会三重地域会主催の講演会。今年は日本建築家大賞と建築学会賞を同時受賞されるという稀に見る建築家 小堀哲夫さんです。

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小堀さんの出身は岐阜県の輪中地域だそうで、ご実家周辺の自然環境の豊かさを改めて評価して設計に生かしているというお話からはじまりました。

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最初に説明されたのはチラシの写真になっているろ過器メーカーの研究施設です。天竜川が至近に流れる敷地の微気候に着目して、空調を使わない期間を最大とする建築計画としています。これまで閉鎖的な研究者スペースを新たな発想を生み出すためのオープンでまさに風通しのよい空間を提案しています。写真で分かるように屋外のような大空間です。半屋外の環境が人の温度許容度をあげることも、想定されています。この場で働くようになって、周辺の自然雄豊かさに気付いた社員さんが多いというのも、光・風を感じたり、1日を通しての熱環境の変化を感じることもあってのことでしょう。

もう一つ竣工物件として繊維メーカーの研究施設もご紹介いただきました。こちらの施設も、斜陽産業として新たな発想が必要な場を創造することが求められた建物です。太陽の取り入れ方の工夫、豊富な地下水の利用など、ここでも自然環境を利用しています。また働く人たちが自らの場をともに作っていく手法を取り入れ、建物・空間への愛着を持たせ、仕事の効率も向上しているようです。

現在進行中の計画も、先の2件同様に建築空間を先行したワークショップを通し、使用する人たちの要望を聞きながら、魅力ある建築にまとめていっています。言葉を先行するワークショップでは一般の人たちに空間がつくるメリットを認識させられないとのこと。

立地する環境と使用する人たちのニーズをきちんと捉ええて、それを建築の構成に当てはめていく真っ当な設計スタイルです。またその解決案にそった建築計画をキチンと実現していく構造・設備設計チームとの総合力が小堀さんの建築です。

ご紹介いただいた写真からは、日本の建物ではないような印象ですが、小堀さん的には日本の空間の再構築をイメージされているとのことです。実際の建物を是非見てみたいという気持ちはいっそう強くなりました。

毎年開催している日本建築家協会三重地域会主催の講演会。今年は小堀哲夫さんです。

 

小堀さんの出身は岐阜県の輪中地域だそうで、ご実家周辺の自然環境の豊かさを改めて評価して、設計に生かしているというお話からはじまりました。

最初に説明されたのはチラシの写真になっているろ過器メーカーの研究施設です。天竜川が至近に流れる敷地の微気候に着目して、空調を使わない期間を最大とする建築計画としています。これまで閉鎖的な研究者スペースを新たな発想を生み出すためのオープンでまさに風通しのよい空間を提案しています。写真で分かるように屋外のような大空間です。半屋外の環境が人の温度許容度をあげることも、想定されています。この場で働くようになって、周辺の自然雄豊かさに気付いた社員さんが多いというのも、光・風を感じたり、1日を通しての熱環境の変化を感じることもあってのことでしょう。

もう一つ竣工物件として繊維メーカーの研究施設もご紹介いただきました。こちらの施設も、斜陽産業として新たな発想が必要な場を創造することが求められた建物です。太陽の取り入れ方の工夫、豊富な地下水の利用など、ここでも自然環境を利用しています。また働く人たちが自らの場をともに作っていく手法を取り入れ、建物・空間への愛着を持たせ、仕事の効率も向上しているようです。

現在進行中の計画も、先の2件、同様に建築空間を先行したワークショップを通し、使用する人たちの要望を聞きながら、魅力ある建築にまとめていっています。

立地する環境と使用する人たちのニーズをきちんと捉ええて、それを建築の構成に当てはめていく真っ当な設計スタイルです。またその解決案にそった建築計画をキチンと実現していく構造・設備設計チームとの総合力が小堀さんの建築です。

ご紹介いただいた写真からは、日本の建物ではないような印象ですが、小堀さん的には日本の空間の再構築をイメージされているとのことです。実際の建物を是非見てみたいという気持ちはいっそう強くなりました。

 

武者小路実篤記念館 納品検査

調布市武者小路実篤記念館ミュージアムグッズコーナーの家具の納品検査にいってきました。

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記念館さんは収益施設ではないので、施設に大きな金額がかけられないので、少しずつの整備していくことになっています。30年ほど前、記念館ができた頃はミュージアムグッズの販売はほぼ想定されていなかったので、間に合わせのスチールラックで対応していました。

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記念館の「建築的コンセプトの本物の質感を大切にすること」に共感いただき、今回、きちんとした家具を作らせていただきました。小さい建物で専用のスペースはとれないのでエントランスホールの一部を使っています。風除室のような場所で外部的な印象なので移動可能な雰囲気をもったものとしました。以前のラック陳列に比べ、グッズの正統感がアップしてみえます。販売も伸びているそうです。

記念館は実篤先生の住宅と庭を市の公園としたところにあります。国分寺崖線の一部の緑と湧き水が保存されているところです。手間の掛かったつくりで建築的にも意義深い記念館とともに訪れてほしいところです。

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公園内、崖の道と実篤旧邸

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下の池、実篤先生が船に乗ってました。湧き水の池とニジマスの居る上の池もあります

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 記念館、奥の屋根が当初の展示館、手前のガラスの箱は3年ほど後に増築した資料館。

道路の向かいに実篤公園があり、地下道でつながっています

三重短大 授業協力

昨年に引き続き、三重短大の1年生設計授業のサポートに行ってきました。日本建築家協会の社会活動の一つです。

昨年同様、大学至近の空き地に住宅を建てる課題です。今回は当課題授業の3回目。本来であれば、断面や立面の検討を指導することになっていますが、まだプランがまとまっていません。きちんと意図をもったプランニングをするには、何回も部屋割りを書いて敷地との関係や部屋の大きさ・形を調整していかねばなりませんが、まだその経験がないようで、この先1ヶ月半できちんとした図面・パース・模型をしあげるのはたいへんそうです。3時間で7人の学生さんに設計意図を聞いて、それに沿った検討作業のアドバイスをしていきます。案の修正や検討はたいへんなのですが、嬉しそうに聞いてくれます。

次回は最終成果品の講評会に参加することになっています。アドバイスがどう活かせれてくるのか楽しみです。

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旧上野市庁舎 シンポジウム

伊賀市でドコモモJapanのシンポジウム「建築はよみがえる」が催されました。

旧上野市庁舎の再生活用を支援するイベントです。庁舎の再生利用を進める市長が先の市長選で当選、活用のための基本設計は完了したのですが、依然として議会の反対勢力が強く、次の段階に進まず停滞しています。

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シンポジウムの前に市庁舎の見学会、建築関係者だけでなく、一般の方も多く参加されいました。当時設計を担当された元坂倉建築研究所の好川さんも同行で、建物の独自性や後に続く名建築へ継承されていった点など説明されました。一般には1階の窓口部分しか入れないため、外からは見えない2階の屋上中庭を囲む議会ゾーンの空間を始めて体験して、残すべきと建物と評価される所以を感じた様子でした。

シンポジウムの最初は、ドコモモ代表になられた東海大学の渡辺研司教授がモダニズム建築の定義がどのようなものかを説明され、それぞれの時代の建物が街に残り、それが積み重なっていくところに歴史ある街の価値の厚みを増していくと。未来に繋げていくことをしていきたいとお話されました。

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続いて、東京理科大の山名善之さんは、坂倉準三の建築の歴史的価値を説明されるとともに、世界遺産となっている世界の近代建築を紹介されました。世界遺産の選考を担う世界的な機関のイコモスから、日本の20世紀遺産として旧上野城下の城下町とモダニズム建築群による景観が認定されていて、世界的に稀な存在であることも言及されました。

最後は、鹿児島大の鰺坂徹さんが自身の関わられた国際文化会館前川國男+吉村順三+坂倉準三 設計)の再生活用についてのお話でした。元のイメージを守りつつ耐震性の確保と現在のニーズに合わせた改修で、これまで以上の活用を達成している実例です。

最近、大阪の枚方市庁舎(坂倉準三)の解体、名古屋市内で中日ビル丸栄の解体など近代建築が失われつつあります。お城や愛知県庁のようなモダニズム以前の建物は一般の方からも残そうという機運はありますが、モダニズム建築は新しい印象で歴史的な価値をみてもらえないのが世界的な傾向です。専門家は歴史の中で20世紀の建物は空白になってしまうのではと危惧しています。

みえの気候風土適応住宅 勉強会

みえの気候風土適応住宅 勉強会に参加しました

この勉強会は、2020年から義務付けとなる住宅の省エネルギー規制によって、土壁・真壁造の伝統的な日本家屋が規制に合わず建てられなくなることを危惧して、適応緩和の道筋を探るものです。建築3団体の建築士協会・建築事務所協会・建築家協会で、適応緩和の規定を作成し、監督する特定行政庁に提案するために行っていて、行政を代表して三重県さんにも参加いただいています。

義務付けられる規制は一般家庭でも環境に配慮して省エネルギーに貢献するように、住宅の断熱性の向上や使用エネルギーの低減を目的とするものです。伝統的な日本家屋は土壁や屋根下地の板が見えるつくりですが、そういったものは断熱性能が不足するし、計算自体もやりにくいものです。全住宅に規制がかかると伝統的な建物の新築はできなくなり、そういったものをつくる技術も絶えてしまうので、国土交通省でも緩和をそれぞれの行政庁で取り決めるよう指針を出しています。この動きは日本各所で始まっています。それぞれの気候風土にあった住宅を各所独自で決めることになります。

それぞれの気候風土に適応といっても日本の大半はよく似た温暖な気候なので、その気候に即した特殊性はなかなか提示できなそうです。そのため建物自体の作り方が、その土地で長く作られてきたやり方であることが決め手となりそうです。協議が進んでいる他県の例では、地元木材の利用とか、職人の手による木材加工、金物に頼らない組み立て、壁が土壁などの条件のいくつかを満足すると適応となるものがあります。

伝統的日本家屋を残していく方策としては、そのような規定でないとかなりハードルが高くなってしまうでしょう。その規定も一般に販売されているハウスメーカーの家に比べるとかなり高価になるのですが。

気候適応で省エネ効果もあるという本来の意味合いからすると、開放的で過ごし易く空調エネルギーも必要なくて、エネルギー低減という住宅も、認められるべきと思いますが、そちらのほうは一律の規定は作りにくく、許容されるかは今のところ不明解です。

住宅を作る側が、省エネの証明を行い、それを行政が容易に認証する枠組みをつくれるかがもう一つの勉強会の課題と考えています

www.hattake.co.jp