八武組 設計ブログ

ハッタケグミ:三重県四日市市の建設会社 設計メモです

住宅3軒

住宅3軒検討中。当然ながら、それぞれ条件が異なってます。

20代4人家族の家

若い世帯なので、できるだけコストを抑えるのがポイント。子供さん2人いらっしゃるので、やはり寝室3部屋の現代的な家が希望。希望の部屋を確保し、できるだけコンパクト・シンプルにすることが目標。

敷地は広いので、将来の余地を残すことや庭を楽しめるプラン、魅力付けを検討。

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高齢者2人の家

ほぼ一日中、家で過ごすことが多い生活に応じた提案。お互いを視認できるよう、壁窓を配置。プライバシーを守りながら、半屋外空間で過ごせたり、室内の通風を確保できる家。外のように広々とした日常生活の環境づくりを検討。

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旧家を継続する家

川に面した大正・昭和初期の旧家の一部を解体し、現代住宅の利便性を持った住空間をつくる計画。今回新築する家と古い家に一体感をもたせ、家の格を維持することが課題。新しく作る部分での高機能な快適な暮らしと古い部分のもつ開放的でより自然を感じる双方のメリットが活きる家は楽しそうです。これまで以上に、川に接する部分をつくり敷地の魅力を満喫できる家を目指します

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堀部安嗣展

TOTOのギャラリーで開催されている堀部安嗣展「建築の居場所」を見てきました。

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きちんとした作品づくりで人気のある方なので、学生さんより、実際に建築の仕事をされているような感じの方が多くみられます。展示は小さな模型と実際に使われた図面の展示、それと30分間の作品紹介ビデオです。みなさん熱心に図面を見ていらっしゃいました。いつもの展示映像より格段長いビデオは、単体の写真では察しにくい建物のしっかりした雰囲気が伝わってくる感じです。堀部さんの建物を使っている人たちのインタビューからは、建物を使うことによって、さらに建物が良くなるように成長している様子が想像でき、羨ましく思えました。

堀部さんの建物は、吉村順三先生の門下の方々と同じように、きちんとしています。たぶん堀部さんは直接先生から学ぶことはなかったかと思われますが、その分、直弟子方々とは違う新しい感覚もお持ちで若い人たちにも人気があるのでしょう。

吉村先生の作品を見ると、「設計はこのくらい、丁寧にしないとダメだよ」とプレッシャーを与えられる気がするのですが、今回のビデオからもそんな感がありました。

ただ、きちんと設計するとコストが掛かってしまうのがやり難いところです。

 

 

上棟しました

鎌倉で建設中の住宅が上棟しました。

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家は低く見えるほうが上品という諸先輩方の教えに従って、全体高さを抑えています。入り口側の軒梁高さは地面から5mほどになってます。土地の高低さと吹抜をつかって居住空間の圧迫感はないように配慮しています。

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今日は強風のため波浪警報が出ていますが、計画地は山影で作業に支障ない程度です。

名古屋駅前 高層ビル

1年ぶりに名古屋マリオットアソシアホテルの宴会場に行きました

JRセントラルタワーズの隣りにJRゲートタワーが出来て、駅前は東京の再開発地区と変わらないくらいの都会の風景です。

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<宴会ロビーから、スカイストリートとゲートタワー>

タワーズとゲートタワーは15階のスカイストリートで繋がってします。空中に公共性の高い通りを作り、そこにホテル・デパート・オフィスが面するというセントラルタワーズのコンセプト・立体都市構想が発展しています。ゲートタワー側にはスカイストリートに庭もあります。

地上部には、駅前広場からゲートタワーを抜け、JPタワーを貫いて北側に抜けられるプロムナードが作られています。これまでなかった北方面への楽しめる動線ができて新しい人の動き、にぎわいの延伸が期待されます。このプロムナード、中央コンコースから1層上がった2階のレベルにあるのですが、多くの通行量のあるJR改札から地下鉄につながる動線から、プラムナード空間の広がりが視認されないのがもったいないように感じます。まだ商業部分が開業していないので実際どうなるかわかりませんが、楽しい雰囲気が見えてれば誘引力もさらにあると思います。

プロムナードで繋がるJPタワーは、店舗は少ないですが、地下から2階のプロムナードまで一見できるアトリウムは、トップライトから自然光の入るゆったりした落ち着きある雰囲気で東京でも少ない都会的な空間になってます。落ち着いた雰囲気は隣接のオフィスエントランスにプラス効果となっています。また地下から2階までの空間が見えることで今まで認識されにくかった地下街の北端に人の流れを作れそうです。

 

 

空き家×まちづくりフォーラム

伊勢河崎「新・蔵くら談義ⅩⅢ」~空き家×まちづくりフォーラム~

伊勢市河崎商人館で開催されました。

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研究報告として、三重大学浅野研究室の町並み復元模型・伊勢河崎の昔の風景映像。

伊勢工業高校建築学科生徒さんによる町屋リノベーション提案・皇學館大学CLLメンバーの地元イベントの今年度の活動が紹介されました。それぞれ河崎まちなみ保存を広める活動です。みなさんしっかり取り組んでいて、成果品は充実しています。(展示は部分的ですが引き続き商人館で継続されるようです)。

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基調講演としてNPO法人尾道空き家再生プロジェクト専属スタッフの神田太郎さんの

尾道の空き家再生プロジェクトの取組み」、尾道で行われている空き家再生の実績と関心を生む様々なイベントの事例の紹介がありました。その後、河崎に関わる地元の方々とのディスカッションとなりました。

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尾道では、古い建物を守っていこうとする強い思いでNPOの方々が頑張っておられるようで、行政の思いも厚いようです。尾道は海(島に挟まれて、川のような形状ですが)に向かった南面の傾斜地に豪商の別荘とお寺が並ぶ、穏やかなたたずまいの魅力的な街で移住希望者は多そうです。空き家バンクを介し、10年で150人ほどパン屋さんや靴屋さんなどのモノづくりの人たち、アート関係の人たちを中心に移住されてきているそうです。

NPOの直営事業としてゲストハウスやカフェを運営し、空き家利用と活動維持の資金集めもされているとのことでした。

空き家利用、町の活性化は、人々に愛着をもってもらうと同時に、その町独自の魅力・適性を見極め、収益事業につなげていく必要があると思います。建築の仕事の風土や社会に関わり、人と人をつなぐ役割が発揮されるべきところでしょう。

この伊勢河崎の強みは何と言っても伊勢神宮が身近にあることです。世界に通用する特質で十分な活路があると思います。

 

手塚貴晴さん講演会

前回予告した手塚貴晴講演会「建築を超えて」が開催されました。

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150名ほどの聴衆で若い方が前回よりかなり多くを占めています。

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これから建築家を目指す人に向けて大切なことを伝えたいという講演となりました。

自らの生活に幸せを感じることが、人に幸せをあたえるという建築家の使命にとって重要という観点で、手塚さん自身のご家族の話から始められました。

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作品の紹介を通して、大切にしていることをお話いただいたのですが、今回は子供から発想することを中心に、屋根の上をつかって子供たちが楽しく走り回る作品を数点、現在進行中のプロジェクトもご紹介いただきました。

子供(人)本来の姿を体現できる建物づくりを目指していらっしゃるとのことでした。

楽しそうな作品写真と上手なお話ぶりで、2時間の講演もアッという間に終わりました。

旧朝日町役場 耐震補強工事

三重郡朝日町にある旧朝日町役場(現朝日町資料館)の耐震補強工事現場説明会に行ってきました。大正5年(1916年)に建てられた木造2階建て延べ床面積234.1m2の建物です。1階は事務関係諸室、2階に議事堂を設けた地方役所建物の特徴をよく留めているとして平成12年に国の登録有形文化財となっています。

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耐震工事の内容は、屋根の重さを減らすために土ぶきの瓦屋根を釘で固定する乾式の軽量瓦への葺き替え。水平剛性を持たせるため屋根面と2階床面に合板を設置。腐食や虫食いでなくなっている木造構造体の置換。地震の横力に対抗する耐震壁の設置とそれを支えるためのコンクリート基礎の設置です。

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1階の事務スペースは36帖の無柱空間で、ほとんどが窓や通路で耐震要素となるか¥べがなく、その分開放的で、気持ちよさそうです。4間半(8.2m)の梁を受けているのは両端1本の独立した形の普通の柱で少し頼りない感じです。

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2階はこの事務スペースの真上に半分の広さの議事堂が配置されています。その上はトラス梁の屋根になっているそうです。大きな空間の上に同じような大人数が乗る部屋となっているのも、構造的には無理をしているように思います。

今回の耐震工事で建物の4隅には耐震壁が設置されます。従来の土壁や窓の内側に壁をつくります。既存のものはそのまま残し、将来壁を外せば、昔のものが見られるようにするとのことです。

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基礎挿入工事の記録写真

土台については、従来ののべ石に、ただ乗っている状態から、現在の耐震基準に合うよう基礎を作りそれに固定します。部分部分で建物を支持し、その下を掘ってコンクリートの基礎を作っていったそうで、かなり手間のかかる工事になっています。

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工事による床解体によって、建物が改造されている痕跡が出てきました。玄関部増築前の事務空間の土間です。コンクリートではなく三和土で作られています。工事に支障ない部分はこのまま床下に残置です。

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新旧の瓦。古いの

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新しいの

瓦の寿命の目安は100年くらいと言われます。今回大屋根の瓦は耐震性の向上のため全面新しくなりますが、古い瓦で損傷のないものは下屋で再利用されるそうです。新しい瓦、風合いが劣る気がします。

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この建物の普通じゃない部分。2階床の1方の床梁がありません。イタリアの建物みたいな構造で地震に弱く、なにより建物をつくるとき、柱の位置が固定できず非常に建てにくかったと思います。材料を節約する必要があったのでしょうか?

本来、この建物は法隆寺のような古い建物と同じように土台が地面に固定されず、地震の際は、建物形を壊さずにズレ動くことで崩壊を免れるしくみなのですが(濃尾地震ののときのかなりの揺れにも耐えています)、現在の耐震診断の基準の数値化する必要があり、固定して揺れに反発する構造に変更となりました。大きな弱点であった屋根荷重をかなり低減できたので、本来のしくみでも倒壊する可能性はより少なくなったと思います。せっかくの文化財指定なら、現行法規を越えて対地震対策も保存すべきところかと思います。

旧役場のすぐ近くに朝日町小学校があります。昭和30年代同じような円形校舎が百校以上作られたようですが、現存しているはわずかなようです。近年児童保護のため、中を見ることは容易にできません。子供のころに一度中に入った記憶がかすかにあります。

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